研究課題/領域番号 |
25750364
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 太二 鎌倉女子大学, 家政学部, 講師 (60343109)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / exosome / 分泌型miRNA / 肥満モデルゼブラフィッシュ / インスリン分泌能 |
研究実績の概要 |
本研究は、初期の2型糖尿病の増悪過程に焦点を当て、インスリン分泌能を高精度、簡便、迅速かつ低侵襲でモニターできるmiRNA マーカーの確立を目的とする。これまでに、糖尿病発症の初期段階と考えられる「インスリン抵抗性が惹起するインスリン分泌能低下」に関わる分泌型miRNAを49種類、マイクロアレイ法により同定した。平成26年度は、これをふまえ、以下の2点に焦点を当てて研究を遂行した。 1.培養細胞を用いた分泌型miRNA の標的組織および標的遺伝子の探索 平成25年度に同定した49種類の分泌型miRNA群について、マウスでも保存されているかNCBIゲノムデータベースで検索した。その結果、約50%のmiRNAがマウスで保存されていた。これをふまえて、exosome中に含まれるmiRNAの絶対量を考慮し、解析するmiRNAの優先順位づけを行った。一方、インスリン抵抗性が惹起するインスリン分泌能低下のモデルとして、これまでにマウス3T3L1細胞を用いた脂肪細胞分化系の構築を行い、脂肪細胞分化前後での培養上清を回収し、exosome中に含まれるmiRNAを精製した。さらに現在、グルコース依存的インスリン分泌系の構築を行っている。 2.ゼブラフィッシュ個体を用いた分泌型miRNA の標的組織および標的遺伝子の探索 1と同様に、分泌型miRNA群のゼブラフィッシュでの保存性を解析した。その結果、約20%のmiRNAがゼブラフィッシュで保存されていた。従って、1で優先順位づけしたmiRNA群の中で、ゼブラフィッシュでも保存されているものとして4種類まで絞り込みを行った。一方、インスリン抵抗性が惹起するインスリン分泌能低下のゼブラフィッシュモデルとして、高脂質食による肥満モデルを構築した。このモデルでは空腹時血糖値が、健常と比べ有意に高値を示し、目的とするモデルが構築できていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画として、平成26年度は、培養細胞とゼブラフィッシュ個体を用いた分泌型miRNA の標的組織および標的遺伝子の探索を主に立案していた。そのため、マウスおよびゼブラフィッシュにおいて、平成25年度に同定した49種類の分泌型miRNA群の保存性についてのデータベース解析を行い、インスリン分泌に関わるmiRNAの絞り込みを行った。これと並行して、「インスリン抵抗性が惹起するインスリン分泌能低下」を検証するのに適したマウス培養細胞系とゼブラフィッシュ個体系の構築も行うことができた。そして、現在、それらの系でのexosome含有miRNA群の発現解析も順調に進行中である。従って、平成26年度の研究計画は、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度の成果をふまえ、以下の2点に焦点を当てて研究を遂行する。 1.培養細胞を用いた分泌型miRNA の標的組織および標的遺伝子の探索 平成26年度に絞り込みを行った分泌型miRNA群について、マウス培養細胞で発現し分泌されているか、また脂肪細胞分化前後で分泌量が変化するかを定量的RT-PCR法で解析する。分泌量が変動するmiRNAをリポソームに内包して、膵β細胞由来培養細胞に添加し、グルコース依存的インスリン分泌能が変化するかを検証する。さらに、こうした分泌型miRNAの標的遺伝子予測をもとに、膵β細胞由来培養細胞において、インスリン生合成や分泌の過程に関わる遺伝子群の発現が変化しているかについても解析する。 2.ゼブラフィッシュ個体を用いた分泌型miRNA の標的組織および標的遺伝子の探索 平成26年度に絞り込みを行った分泌型miRNA群について、ゼブラフィッシュ個体の血中に分泌されているか、また健常と肥満モデルのゼブラフィッシュの間で血中量が変化するかを定量的RT-PCR法で解析する。血中分泌量が変動するmiRNAを蛍光色素標識してリポソームに内包し、ゼブラフィッシュにインジェクションして、miRNAの標的組織を解析する。同時に、空腹時血糖値の追跡を行って、こうした分泌型miRNAがインスリン分泌能の調節に関わっているか検証する。
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