研究課題/領域番号 |
25750371
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
村上 晴香 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康増進研究部, 研究員 (20344880)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 運動習慣 / ドーパミンシステム / 遺伝子多型 |
研究概要 |
本研究の目的は、自発的身体活動・運動行動の個人差とドーパミンシステム系に関わる遺伝子の多型との関係を検討することで、それら行動にドーパミンシステム系が関わっているかを明らかにすることである。本年度は、先行研究やHapMap ProjectのTagSNPを基にターゲットとする遺伝子多型を決定し、それらのジェノタイピングを実施した。現時点において、アスリート約500名、一般成人男女約700名を対象に、DRD2遺伝子(11ヶ所)、DRD1遺伝子(2ヵ所)、DRD4遺伝子(1ヵ所)、COMT遺伝子(1ヵ所)、DAT遺伝子(1ヵ所)の解析が終了している。これらのうち、DRD2/ANKK1遺伝子のrs1800497(C>T)多型について、一般成人男女648名における日常の身体活動量や運動習慣との関係について検討を行った。日常の身体活動量は、3次元加速度計により歩数や中高強度身体活動量を評価した。また運動習慣は、過去1年間および青年期における運動習慣について質問紙を用いて評価した。本対象者におけるDRD2/ANKK1遺伝子型の頻度は、CC型41.0%、CT型45.2%、TT型13.7%であった。これら遺伝子型による現在の身体活動量を比較したところ、歩数や中高強度身体活動に差は認められなかった。一方、遺伝子型と青年期における運動習慣との間に有意な関連が認められ、運動習慣がある人では、TT型の頻度が多かった(p<0.05)。運動習慣の有無に対する遺伝子型のオッズ比を性・年齢を補正したロジスティック回帰分析により算出したところ、CC型に比較してCT型ではOR 1.46(95%信頼区間: 1.00-2.12)、TT型ではOR 1.82(95%信頼区間: 1.03-3.23)であった。つまり、TT型は、CC型と比較して、青年期において運動習慣を有する可能性が高いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、身体活動・運動行動とドーパミンシステム系における遺伝子多型との関連を検討し、それら行動の個人差に遺伝子多型が関与しているかを明らかにすることである。本年度では、ドーパミンシステム系におけるターゲット遺伝子多型の決定とそれらの解析を実施することが目標であった。現在、5遺伝子16多型の解析が終了しており、またその内1つの多型については、身体活動や運動習慣と関連についての分析が終了し、投稿準備中である。そのため、概ね順調に研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の上半期においては、ジェノタイピングが終了している遺伝子多型について、身体活動量や運動習慣との関連、さらにはアスリートと一般人での遺伝子型頻度の比較等を行う。これにより、ドーパミンシステム系が身体活動・運動行動に関与しているかを明らかにしていく。さらに下半期においては、これらの結果から、さらに異なる遺伝子に着目すべきか、あるいは、関連が見られた遺伝子について細かく遺伝子多型を解析していくかを決め、より詳細な検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた遺伝子多型における数個の頻度が、日本人で低いことが判明し、その後、再度文献レビューにより解析すべき遺伝子多型を決定していたため、平成25年度での解析に間に合わなかった 平成26年度において、新たに追加された遺伝子多型の候補について、順次、解析を行っていく。
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