登下校時の通学路上で発生する交通事故や路上犯罪・不審者出没は,子どもの日常生活の安全を脅かす大きな要因である.これらの発生には通学路周辺の子どもの存在状況と,道路空間に関する物理的要因が影響しており,影響要因の操作によって制御が可能であると考える.そこで,本研究では中学生を対象に,通学路のネットワーク・空間設計や交通規制などの交通計画的手法による交通安全・防犯対策の効果を検討することを目的とし,中学生の存在状況や道路空間の物的要因が交通事故および路上犯罪・不審者出没に与える影響の定量化を試みた.特に,これまで研究代表者が実施してきた小学生対象の同様の研究に比べ,下校時刻が夕刻から夜間になる中学生では物的要因に新たに明るさに関する要因の影響を考慮した.具体的には,犯行企図者の視認距離と照度の関係を定量化しモデルに導入した上で,物的要因として新たに現場周辺の照度を追加した.作成したモデルは実際の中学校区で発生する交通事故および犯罪・不審者発生の学校からの距離分布を再現する結果となった. 最終年度においては,まずは土木計画学研究委員会内の「少子高齢化社会における子育てしやすいまちづくり研究小委員会」の委員として,第53・54回土木計画学研究発表会で意見交換を行った.また,「A Study on the Influence of Encounter with Target and Physical Factors around School Route Given to the Suspicious Persons Targeting Schoolchildren」と題した論文を2017年7月開催の15th International Conference on Computers in Urban Planning and Urban Managementで公表予定である.
|