研究実績の概要 |
本研究計画は、「社会関係から撤退する傾向」は、「個人特性」「外的要因」の影響を受け、「適応・不適応」へとつながるというモデル(Rubin et al., 1993)に基づき、企図された。具体的には、調査1-aにおいて、質問紙による調査が可能な小学4年生から大学4年生までを対象に、本人の持つ社会関係から撤退する傾向の他に、どのような特徴が付加されると重篤な不適応の問題へとつながるのかを明らかにする。そして、調査1-bでは、「内気な児童」「おしゃべりな児童」「普通の児童」といった仮想的児童を提示し、その受容度などを検討することで、社会関係からの撤退の緩和因・促進因を明らかにする。 また、本研究では、調査2において、ニート・ひきこもり経験者に対してAAI(Adult Attachment Interview, George et al.,1985)を実施し、その語り口から、ニート・ひきこもり者の持つ「アタッチメントに関する現在の心的状態」(e.g., アタッチメント経験の蔑視、過去の怒りにとらわれている程度)を明らかにする。また、彼(女)らに対して、社会関係からの撤退に関する質問紙を実施し、これらにおける大学生の得点との比較を行う。 平成26年度は、まず、昨年度、大学生に対して予備的に実施した調査1-aを分析すると共に追加データの収集を行った。そして、調査1-b(大学生版)を作成し、大学生に対して調査を実施した。また、調査1-b(教師版)を作成し、高校教師に対して、調査を実施した。 調査2については、社会的ひきこもり経験者に対してAAIを実施すべく、平成27年1月にAAI講座(カリフォルニア大学バークリー校で開催)を2週間受講した。 加えて、本年度は、調査1-a準備として、児童期のアタッチメント測度の精度を高めるべく、インターネット調査を実施した。
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