研究課題/領域番号 |
25750389
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
紙透 伸治 東京理科大学, 理工学部, 助教 (30553846)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞分裂 / 標的タンパク質 |
研究概要 |
単極紡錘体は、細胞分裂期に通常二極となる紡錘体が一つの極になる現象である。単極紡錘体を引き起こす化合物としては、微小管モータータンパク質であるEg5の阻害剤が知られている。我々は単極紡錘体を誘導する化合物としてピレノシンAを見出している。この化合物はEg5の酵素活性を阻害しないことから、新規な作用機構により単極紡錘体を引き起こすと考えられる。そこで本研究では、ピレノシンAの標的タンパク質の同定及び細胞内での作用機構解明を目的とした。まずピレノシンAのプローブとして、アルキン誘導体及びビオチン誘導体を合成した。アルキン誘導体処理したHeLa細胞を抗αチューブリン抗体により免疫染色し、単極紡錘体を誘導することを確認した。次にピレノシンAアルキン誘導体を用いて細胞内の局在を解析した。アルキン誘導体でHeLa細胞を処理し、固定化後、クリックケミストリーにより蛍光色素であるAlexaを導入した。その後、共焦点顕微鏡により観察し、細胞内の局在を解析した。その結果、ピレノシンAアルキン誘導体は、リング状に観察される染色体の中心にドット状に集積することが示唆された。さらに、中心体に存在するγチューブリンの抗体で免疫染色した結果、ピレノシンAアルキン体の局在と重なることが明らかになった。以上の結果から、ピレノシンAは中心体に作用していることが示唆された。現在ビオチン誘導体を用いて、ピレノシンA結合タンパク質の同定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画ではファージディスプレイ法によるピレノシンAの標的タンパク質の同定を予定していた。ピレノシンAのビオチン誘導体を用いてこの方法を試みた結果、いくつかの結合タンパク質が得られたが、未だ有力な候補は得られていない。一方、アルキン誘導体を用いた細胞内局在の解析により、ピレノシンAの中心体への局在を明らかにした。この局在はこの化合物に特徴的であり、細胞分裂期では中心体は紡錘体極となるため、関連性が強く示唆される。このため、今後の標的タンパク質同定及び作用機構解析は容易になると期待される。現在は研究計画に基づきアフィニティーラベル法による標的タンパク質同定を遂行しており、標的タンパク質とピレノシンAの結合を確認している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアフィニティーラベル法による標的タンパク質同定を中心に行う。この際、中心体及び中心体近傍に存在するタンパク質に絞り解析を進める。さらに、研究計画に基づき作用機構の解析を進めていく。一方、同時にピレノシンAが抗がん効果をもつかどうかを、動物実験により検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初購入を予定していた消耗品を次年度に繰り越したため。 消耗品費として使用する予定。
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