研究課題/領域番号 |
25750390
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
福田 将虎 福岡大学, 理学部, 助教 (90526691)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | RNA編集 / in vitroセレクション / 機能性RNA |
研究概要 |
本研究は、標的部位に特異的かつ効果的にA-to-I RNA編集を誘導する「編集ガイドRNA」を創出し、「生体内RNA編集機構を利用した変異導入法」を開発することにより、新たな「生体内タンパク質機能・発現制御方法」の確立を目的としている。平成25年度は、in vitroにおいて、部位特異的にA-to-I RNA編集を誘導する編集ガイドRNAの構築を試みた。ADARは二本鎖RNA中のアデノシンを編集することが明らかになっているが、部位特異的な編集に必要なRNA配列及びその構造は未だ不明である。そこで本研究では、第一段階として、ランダム配列を含む、部分的に二本鎖構造を形成するRNA配列群(cis型RNAライブラリー)を設計、合成し、in vitro編集反応及びin vitroセレクション法を応用して、特定部位が編集されるRNA配列を探索した。セレクション行程を複数回行った結果、ランダム領域に特徴的な配列を有するRNA群を得た。また、得られたRNA配列群の中には、標的部位以外も編集されている分子が存在していた。続いて、部位特異的なRNA編集に必要なRNA構造を同定するため、二次構造予測プログラム(mfold)を用いて獲得したRNA配列の二次構造を比較したが、明確な構造モチーフは決定することができなかった。さらに、本方法論により構築したRNAの標的部位が特異的に編集されるかどうかを実験的に確認するため、得られたRNA中で特徴的な配列を有するRNAクローンをそれぞれ合成、精製し、編集評価を行った。結果、編集の効率は配列の違いによりにより異なっていたが、得られたRNAは標的部位が特異的に編集されることを確認した。以上の結果より、本方法論を用いることで、目的とする部位が特異的に編集されるRNAを構築できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究目標であった、部位特異的に編集されるRNA配列を獲得することに成功したことから、本研究はおおむね順調に進展している。しかしながら、これら実験の結果から本方法論の有効性を示すことはできたが、得られたRNA群から部位特異的なA-to-I RNA編集に必要な明確な構造モチーフを同定することはできていない。効率的にRNA編集を誘導する方法論を確立するためには、この段階でより多くの目的機能を有するRNA配列の情報が必要であるという課題点も残っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、A-to-I RNA編集を目的部位に誘導するために必要な構造モチーフの同定と、平成25年度に得られたRNAをcis型からtrans型に改変し、標的RNA上の特定部位にRNA編集を誘導する方法を確立する。構造モチーフの同定には、新たに条件を検討し、平成25年度に構築した方法論を用いて、より多くの候補RNA配列の獲得を試みる。また、得られる構造情報を基に、あらゆる標的配列に対してRNA編集を誘導可能なガイドRNAを設計する。編集誘導活性は、in vitroのみならずin vivo(培養細胞内)でも同時に評価する。
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