研究課題
マウス脳の成長に伴うエネルギー代謝の変化を画像計測するための手法を確立することを目的とし、当該研究期間においては実験動物および数値解析の手法を用いて提案手法の有用性について検討した。蛍光標識を施したグルコースの誘導体をマウスの尾静脈より投与し、脳組織および脳血管での蛍光輝度の変化を二光子顕微鏡を用いたタイムラプスイメージングによって評価した。撮像した画像は、血管と組織の画像領域にそれぞれ分割し、各画像領域内での血管及び組織における蛍光標識グルコース誘導体に関する輝度時間変化曲線を得た。さらに、あらかじめ求めた蛍光輝度ー濃度に関する較正曲線に従い、計測された蛍光輝度を蛍光標識グルコース誘導体の濃度に換算した。ここで、血中から組織への蛍光グルコース誘導体の輸送量を定量評価するために、グラフ解析の手法を導入した。投与初期においては血中から組織への移行量を算出し、投与後10分から30分の時間範囲において組織への蓄積量を算出した。これらの提案法の有用性について検討するために、グルコース輸送担体との結合能が異なるD体とL体の蛍光標識グルコース誘導体を用いて、比較実験を行った。その結果、脳への移行量はD体がL体を上回る結果が得られた。また測定部位でのばらつきを評価するために、脳表から深さ0.3 mmまでの間で、同様に移行量と蓄積量に関する定量評価を行った。その結果、組織内では脳表に比べて移行量が高い結果が得られた。さらに麻酔下と覚醒下での比較実験を行った結果、麻酔下ではグルコース輸送担体を介さない移行経路が主要な輸送経路であることが示唆された。これらの結果は、輸送量と血中グルコース濃度との間に有意な相関が認められなかったことにも裏付けられる。また数値解析の結果、測定された蛍光薬剤の濃度変化が蛍光標識グルコースの分子量に基いて見積もられた脳組織での拡散係数とよく一致することが確認された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件)
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巻: ? ページ: unpublished
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