ヒトの援助行動においては、援助の受け手が喜ぶことを予期しそれに共感するという共感的喜びを動因とすると考えられる。本研究では、その神経基盤を明らかにすることを目的として、fMRIを用いた実験的研究を推進した。実験の結果、援助行動遂行中に共感的喜びが報酬系の活動として表象されるとともに、共感的痛みに関わる反応が減弱されることを示した。さらに、共感によって惹起される社会的行動が受け手にとって報酬として認識され、かつ、嫌悪刺激に対する反応を減弱することも示した。まとめると、共感的喜びと共感的痛みの連関が援助行動の動因となるとともに、共感に伴う社会行動は受け手にも有用であることを示唆する。
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