研究課題/領域番号 |
25760004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長岡 慎介 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20611198)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 現代イスラーム経済論 / イスラーム金融 / イスラーム法 / 伝統制度の再活性化 / ザカート / ワクフ |
研究実績の概要 |
平成26年度は、イスラーム金融を用いた伝統的イスラーム経済制度(ザカート、ワクフ)の再活性化に関する資料収集・フィールドワーク、国際会議での研究発表を下記のとおり実施した。 (1)資料収集:2014年9月に、アメリカ合衆国の米議会図書館、シカゴ大学にて、英語、アラビア語による関連文献の調査・収集を実施した。また、2015年2月から3月にかけて、別資金によってマレーシアを訪問し、本研究課題に関する英語、マレー語、インドネシア語による関連文献および資料の収集を行った。 (2)フィールドワーク:2015年2月から3月にかけて、別資金によってインドネシア、シンガポールでフィールドワークを実施した。インドネシアでは、首都ジャカルタ、およびジャワ島東部主要都市マランにおいて、政府系、民間NGO系、草の根系の様々なザカート機関を訪問し、当地でのザカートの再活性化に資する先駆的な取り組みについて調査を実施した。そこでは、多様なアクターが多様な志向性を持ってザカート実践の再活性化に取り組んでいることが観察され、昨年度同様の調査を行ったマレーシアと比べてザカートの多元的な現代的実践が行われていることが明らかになった。シンガポールでは、昨年度に行ったワクフの再活性化に関する現地調査のアップデート、フォローアップを行った。再活性化のために物件を改築しているワクフについては、その進捗状況を確認でき、また、新たに再活性化に取り組んでいるワクフがあることも判明し、その動態を詳細に調査した。 (3)国際会議での研究発表:2014年5月に京都大学で開催された第5回イスラーム・文明・科学国際シンポジウムにて、昨年度実施したシンガポールのワクフ再活性化に関する研究発表を、2014年8月にトルコ、中東工科大学で開催された第4回世界中東学会にて、同じく昨年度実施したマレーシアのザカート再活性化に関する研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、インドネシアは調査の対象外であったが、研究を進める中で、ザカートの再活性化に関して極めて新しい実践が行われていることが判明したため、平成26年度は、インドネシアの調査を行った。そのことによって、伝統的イスラーム経済制度の多様な再活性化の実践像を解明することができたように思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(最終年度)の研究では、これまでの現地調査や資料収集で得られた様々な知見を総合し、現代イスラーム世界における伝統的イスラーム経済制度の再活性化に関する包括的考察を行いたい。同時に、研究成果の公表につとめ、日本語、英語の両言語による成果出版をめざしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度には、中東湾岸地域のワクフの再活性化のフィールドワークを実施する予定であった。しかし、同年度内において、他資金によるインドネシアの調査を行うことを優先させたため、当該フィールドワークを年度内に実施できなかった。そのため、当該フィールドワークのための旅費相当分が次年度使用額として生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当該フィールドワーク(中東湾岸地域のワクフ再活性化調査)を年度内に実施できなかったことにより生じた次年度使用額については、次年度実施する同目的のフィールドワークのために使用することを予定している。
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