研究課題/領域番号 |
25760005
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 友美 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (00637077)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フィールド栄養学 / 公衆衛生学 / 食事摂取 / 生活習慣病 |
研究概要 |
本調査は、ヒマラヤ高地に暮らす住民を対象として、フィールド栄養学調査を行うものである。 平成25年度は、これまでに蓄積しているデータの解析、文献調査を行いながら、インド・ラダーク地域において、「フィールド栄養学」の調査手法を確立するための予備調査を行った。これまでに蓄積されているラダークの住民の栄養摂取量のデータを解析し、加齢に関わる栄養摂取量の変化をまとめた報告は、第56回日本老年医学会学術集会にて発表予定である(査読・採択済み、平成26年6月発表予定)。また、平成25年8月に行ったインド・ラダークにおける現地調査では、栄養摂取量の推定を充足させるための、現地の食材に関する調査も行った。ラダークに暮らす、ラダーク人とチベット難民の家庭での料理について、秤量法によって栄養量を算出し、リスト化した。また、市場での食品の価格についても調査し、住民の食品入手に関する情報をまとめている。 平成26年3月にはインドネシア・パプア州での調査も引き続き医学調査隊との合同調査として行い、栄養摂取に関するデータ解析を行った。伝統的な食事であるサゴから米への主食の転換が起こっており、偏った食事によって糖尿病を発症している事例を発見したが、前年の栄養指導の介入から一年後のフォローアップで、糖尿病が改善したケースがみられた。これにより、栄養に関する知識不足によっておこっている生活習慣病は介入の効果が期待できることを明らかにし、ヒマラヤ高地でも同じくおこっている「主食の転換」と生活習慣病への介入を検討していくうえで重要な発見となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、これまでに蓄積したデータの解析を十分に行い、その結果を学会発表するまでにまとめている。現地調査も予定通りインド・ラダークにおいて行い、得られた現地の料理の栄養量や、市場での食品について予定通りまとめている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、ヒマラヤ高地の西と東で生態環境の異なる地域出の比較を行うために、インド・ラダーク地方に加えて、アルナーチャル・プラデーシュ州のモンパ族居住地域においても、都市部、山村部、高原部に居住する高齢者に対して「フィールド栄養学」調査を行う。現地での調査に対する許可を得るための手続きを、カウンターパートの地元医師たちの協力のもと進めていくことが必要である。
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