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2014 年度 実施状況報告書

ヒマラヤ高地における生活習慣病と食に関する「フィールド栄養学」研究

研究課題

研究課題/領域番号 25760005
研究機関京都大学

研究代表者

木村 友美  京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (00637077)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードフィールド栄養学 / 公衆衛生学 / 地域研究 / 食事摂取状況 / 生活習慣病
研究実績の概要

平成26年度は、ヒマラヤ高地のインド・ラダーク地方において実施した住民の健康・栄養状態に関する医学・栄養学健診データの解析を主に行った。ラダーク地域の高所住民における、加齢にともなう栄養摂取量の変化と糖尿病との関連を分析した結果、一般的に生活習慣病の原因とされている「過食」のみならず、エネルギー摂取量の少ない住民にも糖尿病の頻度が多く見られることを発見した。エネルギー摂取量の少ない集団では、摂取する食品の多様性に乏しく、炭水化物に偏った摂取であることが判明した。またラダーク地域の都市部:レーと、高原部:チャンタン高原の住民で栄養摂取量と糖尿病の発生の特徴に違いがあることがわかり、この分析結果を第56回日本老年医学会にて発表している。ヒマラヤ高地のラダークにおいて、栄養摂取・食多様性と生活習慣病との関連について、都市部・高原部それぞれの特徴を比較したが、同様に厳しい高所環境に暮らすアンデスの住民のケースではどうであろうか。ペルー・コタワシ地区において過去に行った医学・栄養学調査から得られたデータを解析し、ヒマラヤ高地の住民の特徴と比較を行った。その結果、アンデス高地では食の多様性と身体健康度、心理的健康度が関連しておらず、さらにケチュア系原住民とメスチソとの間に食生活や生活習慣病の実態の違いが見られることが分かり、これらを第34回日本登山医学会学術集会にて報告した。
さらに、高地住民の特徴を把握するために、本邦の山間部農村(高知県土佐町)においても平成26年8月に調査を行った。食の多様性を低下させる一因と考えられる咀嚼能力にも着目し、歯科的健診も同時に行った。食と生活習慣病において、多様な健診項目からの知見や、フィールドワークによる観察調査を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒマラヤ地域においてこれまでに実施した医学・栄養学健診のデータ解析も順調に進み、学会発表や論文執筆に取り組んでいる。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、本研究の中心となるヒマラヤ高地のラダーク地方における住民の生活習慣病・食の関連の特徴をより追及するための現地調査を行う。ラダーク地方の住民の状況との比較のために、インド・アルナーチャル州のモンパ族(同様のチベット系民族)居住地域においても現地調査を行う。これによって、ヒマラヤ山脈の東と西での異なる生態環境における食と生活習慣病との関連の特徴を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

予定していたインド・アルナーチャル州での現地調査が、現地の入域許可の申請等の影響で実施できなかったため。

次年度使用額の使用計画

平成27年度は、ヒマラヤ高地の東部(インド・アルナーチャル州またはブータンのモンパ族居住地域)において現地調査を実施する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Association between dental status and food diversity among older Japanese.2015

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki M, Kimura Y, Yoshihara A, Ogawa H, Yamaga T, Takiguchi T, Wada T, Sakamoto R, Ishimoto Y, Fukutomi E, Chen W, Imai H, Fujisawa M, Okumiya K, Manz M.C., Miyazaki H, Matsubayashi K
    • 雑誌名

      Community Dental Health (2015) 32, 1–7

      巻: 32 ページ: 1-7

    • 査読あり
  • [学会発表] Cross-cultural research in nutrition and aging2015

    • 著者名/発表者名
      Kimura Yumi
    • 学会等名
      Research Seminar at Research Institute for Cultures and Languages of Asia (RILCA)
    • 発表場所
      タイ、マヒドン大学
    • 年月日
      2015-01-28
    • 招待講演
  • [学会発表] 高齢期に適切な食事摂取とは-食多様性に注目した国内外のフィールド調査からの考察-2014

    • 著者名/発表者名
      木村友美
    • 学会等名
      WHO神戸センター WKCフォーラム「高齢者のためのイノベーション ~アドヒアランス向上のために: 薬剤治療と食事療法」
    • 発表場所
      WHO 神戸センター
    • 年月日
      2014-10-01
    • 招待講演
  • [学会発表] 開発途上地域における加齢と栄養摂取量、糖尿病の頻度-ヒマラヤ高地ラダークの市街部と高原部の地域間比較2014

    • 著者名/発表者名
      木村友美
    • 学会等名
      第56回日本老年医学会学術集会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-06-12 – 2014-06-14
  • [学会発表] 高所住民の食多様性と健康度との関連-ヒマラヤ・アンデス高地におけるフィールド調査より2014

    • 著者名/発表者名
      木村友美
    • 学会等名
      第34回日本登山医学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-05-30 – 2014-06-01
  • [図書] “Chapter 5 The Diet and Health of Qinghai Tibetans”. Kiyohito Okumiya (Ed.) Aging, Disease and Health in the Himalayas and Tibet: Medical Ecological and Cultural Viewpoints - Studies on Arunachal Pradesh, Ladakh, and Qinghai.2014

    • 著者名/発表者名
      Kimura Yumi
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      Rubi Enterprise, ISBN 978-9843364609.

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公開日: 2016-06-01  

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