生活習慣病の増加は、特に開発途上地域において重大な社会問題になっている。本研究では、生態環境や近代化がどのように高齢者の食と健康状態・生活習慣病に関連しているのかという点に注目し、ヒマラヤ高地のインド・ラダーク地方において調査を行った。研究では「フィールド栄養学」の調査手法を用い、栄養摂取だけでなく生活背景などの調査も複合的に実施した。都市部、山村部、高原部での栄養摂取の特徴を分析し、生活習慣病の背景に食と生業の変化があること考察した。伝統的な食へあったツァンパ(大麦)から米への主食の転換も、栄養摂取が炭水化物摂取に偏る一因として浮かびあがってきた。
|