イバン族が多く感染する理由として、彼らの環境との関わり、とりわけ生業および住居様式にどのようなリスク要因があるかが観察できた。感染者の多くは森との関わりがある人だった。非感染者は森との関わりを直接もたない人たちであった。自然宿主とかんがえられるサルと、そこからマラリア原虫をヒトに運搬するアノフェレス蚊の存在、それらをつなぐ森林と川に密接する伝統的なロングハウスの存在がサルマラリアのヒト感染への環境的な必要条件であると考えられた。調査開始前年の過去2年で州政府は患者が大量発生していたロングハウスをほぼすべて取り壊し、より近代的な気密性の若干高いロングハウスにつくりかえている。
|