本研究は、近代の欧州・米国・日本で行われた博覧会の歴史を研究対象とした。とくに、世界各国の先住民族が会場に見世物として連れてこられてなされた「動物園的な人間の展示」に注目した。 研究の結果、当初、観客を楽しませる目的で19世紀に始まったこのような展示が、1893年シカゴ万博以降になると、帝国主義的な支配を正当化するという政治的目的を帯びたこと、また同時に、展示を科学的に正当化するために、人類学が利用されていったことを明らかにした。 加えて、こうした状況が20世紀前半に、文化多元主義的な価値観に基づく展示に移り変わっていく経緯も明らかにした。
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