本研究は、ジェンダーの視点から近代日本の女性の作り手と人形について、考察したものである。特に、近代化における人形のジェンダー化に着目し、女性の作り手が「美術/芸術」から排除されていく過程および人形創作活動と女性性について検討した。その結果、次の点が明らかとなった。第一に、人形は近代におけるジェンダー化によって、「美術/芸術」から除外されただけではなく、続く1930年代における人形の再ジェンダー化によって、男性の作り手の多い創作人形は芸術化される一方女性の作り手の多かったフランス人形はアマチュア化された。第二に、フランス人形は作り手の女性の女性性を担保する機能を保持していたことが明らかになった。
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