研究課題/領域番号 |
25770001
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 智彦 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30422380)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アカデメイア派 / 懐疑主義 / ヘレニズム哲学 / ローマ哲学 / カルネアデス / ストア派 / プラトン / アリストテレス |
研究概要 |
(1) キケロ『アカデミカ』をはじめとするアカデメイア派懐疑主義の基礎資料の研究に着手した。そのなかで大きな課題として浮かび上がってきたのが、カルネアデス以降のアカデメイア派内部における錯綜した論争状況をめぐる解釈上の問題である(関係する主要な哲学者は、クレイトマコス、ラリッサのピロン、アスカロンのアンティオコスなど)。そこで本年度は、先行研究を踏まえつつ、関係資料の整理とその諸解釈の再検討を進めた。 (2) アカデメイア派の各哲学者による個別議論の研究として、カルネアデスの倫理学的議論とその射程を検討する論文「カルネアデスの舟板」(ルーマニア語訳)が公刊された。また、アテネ(ギリシャ)で開催された XXIII World Congress of Philosophy において、ストア派によるプラトン受容に関する発表‘The birth of Stoic freedom from Plato’s Republic’を行い、海外のヘレニズム・ローマ哲学研究者との意見交換の機会をもった。 (3) ヘレニズム・ローマ哲学全般に関わる研究として、「アプロディシアスのアレクサンドロス『運命について』日本語訳・注(I)」(杉山和希氏との共訳)を発表したほか、新『アリストテレス全集』のなかで「アリストテレス諸伝(ディオゲネス・ラエルティオス、ヘシュキオス、サン・マルコ図書館所蔵写本)」の翻訳を担当した。また、他分野の哲学研究者に向けて、「運命と自由の微妙な関係――ストア派は〈内的自由〉を説いたか?」と題する概説的な発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はキケロ『アカデミカ』の翻訳・註解に着手する予定であったが、本著作の背景となっているアカデメイア派内部の論争状況の理解に時間をとられており、その段階にまで至ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年6月に、アカデメイア派研究の世界的権威の一人であるJohn Glucker氏(イスラエル・テルアビブ大学)を招聘し、研究会を開催する予定である。特に、現時点で課題となっているアカデメイア派内部の論争状況の理解に関して意見交換を行い、今後の研究の推進につなげたいと考えている。
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