本研究は、人間学(政治論的/道徳論的)に関して[1]デカルトによるシャロン哲学の受容と変更の機構を解明し、[2]その批判的受容を基点にシャロン哲学のフランス哲学史における意義を剔抉すると同時に、[3]フランス哲学黎明期における人間学的考察の展開を哲学史的に解明すること、以上の三点を目的とした。そのために、シャロンの主著である『知恵について』の内容分析をもとに、シャロンとデカルトの著作で用いられている主要な概念について、その対応関係と位置情報を示すべく、テクストを網羅的に配列させたコンコーダンスを作成した。とりわけ、情念、習慣/習俗、権威、宗教、動物、懐疑の諸論点について強い連関が確認された。
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