研究課題/領域番号 |
25770006
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
相澤 康隆 三重大学, 人文学部, 准教授 (40647129)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 徳倫理学 |
研究概要 |
申請者の「古代ギリシャの友愛論研究」は、交付申請書で明示したように、徳倫理学に理論的基盤を与えるための重要なステップとして位置づけられる。そこで2013年度は、友愛に関する個別的研究に取り組む前に、より包括的な観点から徳倫理学の意義の考察を行った。 まず、2013年7月に三重哲学会において「徳倫理学とは何か」というタイトルで口頭発表した。そこでは、徳倫理学復権の歴史的背景、規範倫理学における徳倫理学の重要性、徳と幸福はどのような関係にあるのかという点に関して、先行研究を整理したうえで、今後考察すべきいくつかの論点を明らかにした。 次に、2013年10月には日本倫理学会において徳倫理学に関するワークショップを行った。このワークショップでの私の発表題目は「徳倫理学と正しい行為」である。徳倫理学が、功利主義や義務論とならぶ規範倫理学の主要な立場となるためには、「正しい行為とは何か」という問いに答えることができるのでなければならない。この問題意識のもとに、徳倫理学の立場から正しい行為を定義する主要な試みを紹介し、それに対する批判を説明したうえで、この問題に関する私見を述べた。徳倫理学の立場から正しい行為を定義する際には、「有徳な人が行う行為」よりむしろ「徳を備えた行為」を中心にすべきであるというのが中心的主張である。 このワークショップでの研究成果は、2014年3月に『人文論叢』(三重大学人文学部文化学科研究紀要)第31号にて論文として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口頭による研究発表を二度行い、論文を一本刊行したことから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
申請者の目的を達成するには、個別的な友愛論研究から包括的な徳倫理学研究へという方向もありうるが、むしろこの方向を逆にしたほうが研究が進展しやすいことがわかった。それゆえ、研究期間の前半は引き続き徳倫理学研究に焦点を当て、後半に友愛論研究を進める予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
書籍の購入に要する額が予想を下回ったため。 書籍の購入に充てる。
|