研究課題/領域番号 |
25770007
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡本 源太 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (50647477)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ジョルダーノ・ブルーノ / マラン・メルセンヌ / ガブリエル・ノーデ / 世界の複数性 / 循環史観 / ルネサンス自然主義 / 近世自由思想 |
研究実績の概要 |
ジョルダーノ・ブルーノによる「世界の複数性」論を、後世のマラン・メルセンヌやライプニッツからの批判と対照しながら読み解き、近代以降の「多様性」概念の再考を目指す本研究は、その二年目として、昨年度の研究実績を踏まえてブルーノとメルセンヌの関係、ルネサンス哲学と近世自由思想の関係をひきつづき調査した。本年度はブルーノ『しるし論』の精読・翻訳・注釈を中心にしつつ、フランス国立図書館にてメルセンヌとガブリエル・ノーデの著作も集中的に調査・検討した結果、自然主義化された循環史観が、ルネサンス期から近世にかけて人間像と世界像の脱キリスト教化・世俗化に大きく関与したとの知見を得た。その一端は、口頭発表「自己のエクリチュール――ルネサンスから偉大なる世紀へ」で公表した。「調和」概念および「多様性」概念と近代以降の宇宙像との関係については、昨年の研究成果により近世の音楽論の重要性が認識されたが、メルセンヌを中心に検討を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の研究によって重要性が認識されたルネサンス自然主義と近世自由思想との関連を順調に解明しつつあり、当初の研究計画であるライプニッツ哲学の検討には踏み込んでいないものの、着実な研究成果を上げつつあると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はブルーノ『しるし論』の翻訳・注釈を完成させるとともに、ルネサンスの自然主義的な循環史観がブルーノにおいて「世界の複数性」論と結びついた理路を再構成し、アメリカ大陸植民地化への批判をはじめ多文化主義的な倫理の基盤を解明する。その際、メルセンヌのキリスト教的・機械論的世界像とノーデの自然主義的・循環史観的世界像との対照が重要になると予想される。
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