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2014 年度 実施状況報告書

グノーシス的二元論を基軸とした現代フランス哲学の再理解

研究課題

研究課題/領域番号 25770010
研究機関北九州市立大学

研究代表者

伊原木 大祐  北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (30511654)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード宗教哲学 / グノーシス / キリスト教 / 二元論 / フランス
研究実績の概要

晩年のミシェル・アンリは、自らの現象学思想を「現象学的二元論」の名のもとに総括しつつ、これをキリスト教の解釈に応用している。そこで強調されるのは、超越に対応して脱自的構造をもつ「世界」と、内在に対応して情感的構造をもつ「生」との二元性であり、さらにはキリスト教における後者の優越性である。このような二元論思想をあえて古代グノーシス主義的な二元論と関連づけて論じ直すというのが、本年度に予定されていた中心課題である。年度末には、この点を詳細に扱った論文「ミシェル・アンリの二元論とその実存的含意」を公表することができた。そこでは、アンリの理論構成と非常によく似た二元論を展開しているカトリック近代主義の哲学者ラベルトニエールとの関係や、マルキオン思想との予想外の接点を指摘しているが、こうした関係性は従来まったく論じられてこなかったため、それなりの学問的意義があると思われる。さらに本年度は、以前の論文「レヴィナス、アンリ、反宇宙的二元論」の続編として企図された発展的論文「主体の手前――レヴィナスとアンリにおける無名性の問い」を学会誌に発表した。この中ではレヴィナスとアンリの思考法だけでなく、彼らと井筒俊彦やジョルジュ・バタイユとの思想的連関についても分析の対象とした。とくにレヴィナスとバタイユの関係については、論文「実存の眩暈――バタイユのレヴィナス読解をめぐって」の中でも、これまで以上に突っ込んだ形で考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の内容面で密接に結びついた三つの論文の発表によって、当初計画していたレヴィナスとアンリにおける二元論的問題構成の解明に対し、包括的な形で寄与することができた。本来は最終年度に予定していたバタイユ思想との連関についても、十分な成果が得られた。

今後の研究の推進方策

研究を進める中で、当初研究の中心的対象であったレヴィナスとアンリ以外の哲学者についても、いくつかの見通しが得られるようになった。とくに最終年度は、シモーヌ・ヴェイユの異端的かつ二元論的モチーフについて研究を深める予定である。その際の鍵となるのは、(ヴェイユ独自の概念である「脱創造」ではなくて)「創造」の概念であると考えている。ヴェイユによるマルキオン評価という観点から、同じくユダヤ人思想家であったエルンスト・ブロッホによるマルキオン評価との親近性を取り上げる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ミシェル・アンリの二元論とその実存的含意2015

    • 著者名/発表者名
      伊原木大祐
    • 雑誌名

      基盤教育センター紀要

      巻: 第21号 ページ: 1~16

  • [雑誌論文] 主体の手前――レヴィナスとアンリにおける無名性の問い2014

    • 著者名/発表者名
      伊原木大祐
    • 雑誌名

      ミシェル・アンリ研究

      巻: 第4号 ページ: 97~118

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 実存の眩暈――バタイユのレヴィナス読解をめぐって2014

    • 著者名/発表者名
      伊原木大祐
    • 雑誌名

      別冊水声通信 バタイユとその友たち

      巻: ― ページ: 324~340

  • [学会発表] レヴィナスのヴェイユ批判は正当か?2014

    • 著者名/発表者名
      伊原木大祐
    • 学会等名
      日本宗教学会第73回学術大会
    • 発表場所
      同志社大学(京都市上京区)
    • 年月日
      2014-09-13

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公開日: 2016-06-01  

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