研究課題/領域番号 |
25770021
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
土井 裕人 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80568402)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人文情報学 / 宗教思想 |
研究概要 |
これまでの拙論「テクストのマークアップによる思想研究の試み-CATMAによるプロクロス『神学綱要』の分析-」および「思想研究へのマークアップと視覚化の応用-プロクロス『ティマイオス註解』の分析と視覚化-」においては、思想研究において電子テクストをコンピュータで扱うことでどのような活用ができるのかを考察し、その上で、電子テクストの分析結果を視覚化することによりどのような応用が可能になりうるのか検討を進めてきた。 とは言え、これまでの過程では、デジタル・ヒューマニティーズを思想研究に用いる方法論には主に何が使えるかの検討が中心であり、これらツールによって具体的にどのような思想研究を行うことができるのかは明確に提示できていなかったと思われる。そのため、本研究では、これまでに引き続いて西洋古代末期の新プラトン主義者プロクロス(412-485)と、彼によるプラトン『ティマイオス』(Tim.)への浩瀚な注釈書である『ティマイオス註解』(In Tim.)を主に取り上げ、CATMAといったデジタル・ヒューマニティーズのツールやD3.jsといった汎用の視覚化ツールを用いてアプローチすることで、宗教思想の研究にとってどのような新たな視角が得られるのか、実際に試行した。そして、この結果を論文「視覚化を応用した思想研究とその実践-プロクロス『ティマイオス註解』を例に-」および研究発表"Visulalizing Proclus’ Commentary on Plato’s Timaeus with Textual Markup"として公表した。 また、新プラトン主義の宗教思想についても引き続いて研究を行い、研究発表「プロクロスにおける魂の動をめぐって」および「プロクロスにおける「神に似ること」と「祈り」をめぐって」として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文こそ1本であったが、発表は違ったテーマで3本行うことができた。うち1本については、論文として投稿準備中である。また、従来着手することができていなかった、人文情報学のツールの宗教思想に対する具体的活用という論点について、論文として公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、人文情報学のツールの宗教思想に対する具体的活用というテーマを引き続き探究するとともに、プロクロスの宗教思想について「神に似ること」をめぐる緒論点をさらに検討していく予定である。また、既に平成25年度において一部着手しているが、人文情報学に応用可能な他のツールを探索し、先進的で他に類例のない研究を推進することとしたい。
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