研究課題/領域番号 |
25770021
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
土井 裕人 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80568402)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 宗教学 / 人文情報学 / デジタル・ヒューマニティーズ |
研究実績の概要 |
本年度は、これまでの研究成果を国際学会(XXI IAHR World Congress)にて発表するとともに、前年度に開催した国際ワークショップにて得た知見から研究を進め、哲学・思想の教育に人文情報学の応用する方法論についても研究を広げ、学術論文として発表した。 前者については、プロクロスら新プラトン主義の宗教思想の基盤となったプラトンの特に『ティマイオス』を取り上げ、そこで論じられた「異界」とそれに関わる知いうテーマから、現代を含めた後世に影響した要素について検討した。この発表は「異界」をテーマとしたパネルの中で行われたため、西洋の他の時代や日本など宗教思想を古今東西に横断したヴィジョンのもとに、本研究の位置づけを広い視野のもとに再確認することができた。 後者については、人文情報学の知見を哲学・思想研究への応用を推進する上では教育への活用も併せて進めていく必要があるという知見をこれまでに得たことから、その具体的な方法の検討を試みることとした。そのため、従来取り上げていたプロクロスらの宗教思想のテクストではなく、宗教学説史の専門教育の科目を念頭に置いて、宗教学の諸学説の文献を取り上げている。具体的には、マックス・ミュラーやE・B・タイラーらの文献に登場する主要概念を視覚化・3D化してさらに3Dプリンタで出力し教材作成をすることを試みた。これにより、人文情報学の哲学・思想研究への応用をもう一段階進める手がかりを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、当初プロクロスをはじめとした西洋古代の宗教思想のテクストを対象とした専門的研究へ人文情報学を活用することを念頭に置いていた。このテーマについて一定の成果を挙げる中で教育への展開、さらに研究へのもう一段階のフィードバックというサイクルを構築する見込みが立ち、その試行を行う段階まで到達したためである。
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今後の研究の推進方策 |
宗教学説史の専門教育に対する人文情報学の活用は、平成27年度において予想を上回る進展を方法論の検討においては達成することができたが、実際の科目での実践はこれからの課題となっている。今後はこの点を研究推進の一方策としながら、人文情報学への哲学・思想研究への応用を総合的に進めていくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究遂行の過程で、平成27年8月頃に他の大学や研究機関の研究者との交流を契機に「科学コミュニケーション」が重要であるという新たな着想を得たので、当初の研究計画を見直し、この要素について知見を深めた上で遂行することが必要となった。 また、学生指導業務が想定外に多忙となり、やむを得ず研究計画の取りまとめの部分に遅延が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画の取りまとめにかかる部分を中心に、上記理由に対応した研究計画の遂行に用いる予定である。
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