平成29年度は、日本語の共著1冊、日本語の書評論文1篇を刊行した。また、国内で2回、国外(インド)で1回の口頭発表を行った。これらの研究成果は、平成28年度に行った海外調査および資料収集(マレーシア、インドネシア、カンボジア、インド)に基づいている。これらの現地調査では、イスラーム法学に関する資料収集、資料の分析を行うとともに、現地の研究者、イスラーム学者との意見交換を行った。これらの研究調査および発表によって、特に東南アジアと中東、南アジアの間のイスラーム法学上の相互影響に関する研究が進展した。平成29年度は、研究課題を達成する上でこれまで特に不足していた南アジア方面についての研究を充実させることができた。 研究期間全体を通じての研究の成果は、単著『国家と対峙するイスラーム マレーシアにおけるイスラーム法学の展開』(作品社)および他の著書、論文にまとめられ、刊行された。これらの研究成果は、マレー語やアラビア語の膨大な一次資料の分析と長年に渡る現地調査に基づく意義深い研究であり、東南アジアのイスラームに関する研究への大きな寄与である。同時に、他にも国内国外での研究発表が続けられ、今後の研究に結びつく現地調査も引き続き行われた。これまでの研究は、東南アジアのイスラーム、中東と東南アジアの間のイスラームについての知的交流に関するこれまでの研究が、着実な成果を挙げたことを示しており、さらには今後もこの分野での研究をさらに発展させうることを示している。
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