研究課題/領域番号 |
25770029
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
折井 善果 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (80453869)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 思想史 / キリシタン / 東西交渉史 / 印刷史 / 日本キリスト教史 / スペイン文学 |
研究概要 |
本研究は、日本イエズス会版(キリシタン版)の思想的源泉としてのルネサンス人文主義が、取捨選択などの変容を被りながら潜伏キリシタンに継承されている事実を、欧文原典・キリシタン版・キリシタン写本という文献上の流れを追う事によって実証的に明らかにし、近世初期日本が、混沌とした背景を有する当時のキリスト教と接触した際の、宗教的構成要素の取捨選択のあり方を考察することが目的である。この目的達成のため、申請時に設定した具体的研究内容は二点あった。まず第一に、分析の対象となる、翻訳・翻刻の未だない資料を公刊すること、第二に、戦後半世紀以上包括的調査の途絶えていたキリシタン版の海外所在の移動を追跡することである。本年度は、後者について主に調査・研究を行った。その概要は以下の通りである。 『キリシタン文庫』の著者J・ラウレス(1891-1959)の没後調査・報告が存在しない、国外の所蔵館にポイントを絞って調査を進めたところ、キリシタン版原本の所蔵先が移動しており、なおかつ移動先で再び行方不明になっている事実を確認した。キリシタン版は国字本だけでなくローマ字本を含み、なおかつヨーロッパ式の印刷物であるため、その書誌学的重要性を当該所蔵先の担当者が認識しているとはいえない現状を目のあたりにした。調査の結果は平成25年度の研究実績に発表・公刊した。引き続き当該所蔵先との連絡を保ち、日本の文化遺産の散逸防止に努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は研究代表者の休職(産休)に該当し、同年度中予定していた作業を平成26年度も継続することとなったため。しかし平成26年度に行う予定であったキリシタン版原本の所在確認の作業が進行したため、全体としては一年間の研究期間延長(承認済み)で取り戻せる程度の遅れに留まった。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の休職(産休)に伴い、本課題の研究期間が一年間延長された。平成26年度、平成27年度は、未刊行資料の翻刻・校註作業に集中的に取り組むことになる。また、本研究課題に密接にかかわる日本イエズス会版、およびイエズス会史に関する国際的な学術ネットワークが構築されつつあるため、翻刻・校註作業とその研究成果を内外に広く公開する手段として有用に活用したい。
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