研究実績の概要 |
平成25年度に作成した関連作品目録を基礎資料とし、16世紀半ばの美術史・美術批評的言説との対照を行った。主たる分析対象とするヴァザーリの『芸術家列伝』では、初版と第2版の対比を行うために、両版を収録したバロッキ版(P. Barocchi - R. Bettarini, eds, Firenze, 1966-)を底本とし、関連個所の特定を行った。その他のヴァザーリの書簡やボルギーニなどの関連人物の言説に関しても、K. Frey, Der literarische Nachlass Giorgio Vasaris, Muenchen, 1923-1940 などを参照した。 また、夏季および春季にフィレンツェにおける現地調査を行い、先行研究の収集、作品の実見などを行った。特に関連聖堂に由来する壁画作品に関する調査を重点的に行い、その結果をもとに現在論文執筆を行っている。また次年度以降の研究に備えて、同時代に行われたフィレンツェの諸聖堂の改修を比較対象として調査した。なかでも、サンティッシマ・アヌンツィアータ聖堂を重要な検討対象として、関連作品の文献調査などを行った。 サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂主祭壇画(ドメニコ・ギルランダイオ作)に関して、昨年度に行った調査にさらなる追加的調査を行い、その内容を International conference Space in Renaissance Italy organized by Villa I Tatti (The Harvard University Center for Italian Renaissance Studies) で口頭発表を行った上で、Mitteilungen des Kunsthistorischen Institutes in Florenz 誌に論文を掲載(平成25年度報告を参照)した。
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