| 研究課題/領域番号 |
25770048
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| 研究種目 |
若手研究(B)
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| 研究機関 | 椙山女学園大学 |
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研究代表者 |
見田 隆鑑 椙山女学園大学, 文化情報学部, 講師 (30634365)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 五大明王 / 密教図像 / 降三世明王 / 不動明王 / 密教美術 |
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| 研究概要 |
今年度は、国内の未調査の明王像の作例として茨城県城里町の宝幢院所蔵の降三世明王立像、岡山県・西大寺所蔵の厨子入五大明王像、不動明王坐像などの実地調査を行った。宝幢院像は足ほぞ部分に墨書銘を残すとともに、この地域における南北朝期の密教の需要を示す作品と捉えられるため、茨城県立歴史館で行われた特別展「常陸南北朝史－そして動乱に中世へ」も観覧し、この地域の南北朝期の情報を集めた。本作品に関する見解は今後何らかの形で活字化していきたいと考えている。
西大寺所蔵の五大明王像は牛玉所殿の秘仏・本尊であり現在までに博物館等に出展されたこともなく、作品そのものの情報も不明であったが、今回の調査を通し採寸、撮影をはじめとする詳細な観察ができた。10㎝程の江戸時代の作品ではあるが、比較的正統な図像に基づく作品であった。本作品に関しても機会を見て報告を検討している。
加えて、今年度は一つのテーマとして明王像や夜叉形像の装身具や着衣などに焦点をあて研究を行った。このため、今年度は明王像に限らず十二神将像などの着甲表現も観察の対象とした。この内容をもとに「守門像などに見られる鬼面・獣頭、蛇を伴う装身具の表現に関する一考察－特に象頭皮の脛当てについて－」と題する論文を椙山女学園大学文化情報学部紀要に投稿した。この執筆に合わせて、大元帥明王や青面金剛、深沙大将等についても実作例、経軌や修法次第にあたり検討を加えた。また、大正大蔵経図像部所収の白描図像を中心に、明王図像のデジタル化を行い、データベース化する作業も行った。現状ではメタデータなどに不十分な部分も残しているが、実作例の写真資料のデータベース化も今後合わせて行っていき、体裁を整えながら明王図像のデジタル図鑑を構築していきたい。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
未調査の作例の実地調査の機会を得られたことを通して新たな情報を収集でき、自身の明王図像に関するデータをより充実させることはできた。しかし、本年度、調査依頼を受け入れて頂けなかった作例や、諸条件から調査に臨むことが出来なかった作例も数件存在した。次年度に持ち越された調査に関しては、次年度で補足できるものと思われるが、本研究の上で非常に重要な作品が所蔵者の事情により調査不可能な点は惜しまれる点である。
該当作品に関しては、地域の教育委員会などにも連絡をとり情報収集を試みたが、今後も調査が不可能である可能性が高く、提供された資料をもとに検討せざるを得ないものと思われる。また、今年度は資料のデジタル化をはじめとするデスクワークが中心となり、特に絵画作品に関しては展覧会等の機会を活かした閲覧以外には十分に調査に臨めておらず、次年度以降は絵画作品についても情報を集め、積極的に実地調査を行い、データの収集を行いたい。
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度調査が出来なかった作品の中で今後調査が可能な作品については、再度依頼と日程調整を行い調査に臨む予定である。書籍や図録などで既に紹介されているような作品に関しては、これまでの研究を通して比較的情報を収集できているが、情報が十分に開示されていないような作品の中にも未だ重要な作品が多数残されていると考えられるので、根気よく情報収集を重ね、図像あるいは彫刻・絵画など実作例の形で確認できる明王像を網羅的に整理できるよう努めたい。特に、地域における文化財悉皆調査や地域史に関わる編さん事業等を通して見出される作品もあると思われるので、そのような情報にも耳を傾けて行きたい。また、今年度は明王図像のデータベース化を進めるとともに、着衣や装身具などの意匠をもとに明王像や夜叉形像の特徴的な図像の背景を検討したが、これらの成果を具体的に初期密教の明王像や名称未詳の明王像の尊名同定に十分に活かせていない段階であるため、次年度以降は幾つか作品をピックアップしながら、その尊名同定も合わせて行っていきたいと考えている。また、各尊像の造形の中に地域的な特徴を見出していくことも本研究の課題としている為、尊像のみでなく、尊像が置かれた環境や地域の歴史についても合わせて研究を進めていきたいと考えている。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
調査を予定していた寺院が来年度に見送りとなったこともあり、若干予算を残す形となった。
次年度使用額に関しては、予定していた調査の為の出張旅費の一部として使用する。
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