本研究では、幕末・明治期の高僧伝絵や寺社縁起絵巻を対象とし、北陸、九州、関東の寺社を中心に、計18カ所の地域にてフィールド調査を実施した。結果、絵巻の図像や資料形態等の基礎データを収集する共に、近世後期から明治期の地方において、高僧絵伝や寺社縁起絵巻が盛んに制作されている実態を明らかにした。くわえて、それらの図像や縁起資料(文献)を詳細に分析することで、同絵が描かれる信仰的・宗教的・地域的な文化背景を自明化するに至った。また同テーマの学術公開シンポジウム「俗化する高僧絵伝と明治時代」を2015年12月に実施し、その内容を編者としてまとめた書籍を2017年11月に刊行する予定である。
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