本研究では、大戦間期のフランスにおける壁画芸術の復興の動きの中でもとくに、組織的な運動を展開していたにも関わらず、未だまとまった研究のなされていない対象として、サン=モール(サミュエル・ギュイヨー)が1935年に創設した「壁画芸術」協会の活動に着目し、書誌と図像に関する情報の収集を出発点に、19世紀末の装飾芸術運動との連続性と差異を視野に収めたうえで、フランス国外の芸術的動向との相関関係をも考慮に入れつつ検証することにより、壁画復興の動きが前衛芸術家を中心に組織化される過程とその活動の波及の程度を実証的に明らかにした。
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