研究課題/領域番号 |
25770057
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
杉本 章吾 筑波大学, 人文社会系, 特任研究員 (00648719)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表象文化論 / マンガ研究 / 現代日本女性大衆文化研究 / 少女マンガ / 『りぼん』 |
研究概要 |
平成25年度は、1990年代の少女マンガ誌に関する資料の収集・整理・分析を進めた。具体名を挙げれば、『りぼん』を中心として『なかよし』・『ちゃお』など、小学生を主要な読者層とする代表的な少女マンガ誌に関する資料を収集し、そのなかのマンガ・記事・読者投稿の整理・分析を行った。一次資料はまず、国立国会図書館を中心として、戦後マンガ・大衆文化関連の文献資料が収蔵されている国内施設に赴き、資料の閲覧・複製を通じて収集を進めた。また、作業時間を合理化・短縮化するため、購入できる一次資料をできるだけ購入し、勤務校での研究環境の整備に努めた。同時に、勤務校では残念ながら少女マンガのみならず、戦後大衆文化に関連する書籍が全般的に不足している。そのため、これら資料の系統的・網羅的な収集に努めるとともに、少女マンガ研究と他の大衆文化研究とを架橋するプラットフォームを構築するための基礎作業を積極的に推進した。 また、それとともに、国内学会や研究会に積極的に参加し、他大学や他組織に所属する研究者と情報・意見を交換することで、最新の研究動向を把握し、その成果を自身の研究に取り込むことができるよう、人的ネットワークの構築と情報交流の基盤整備を進めた。以上の一年間の作業に立脚し、平成25年度には1990年代の少女マンガにおける若年女性表象の変容を考察するうえで欠くことのできない、マンガ家の矢沢あいを分析対象として『文藝言語研究 文藝編』65号に研究論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、研究はおおむね順調に進展している。とりわけ、平成25年度は、1990年代の若年女性を取り巻く文化的環境の概観、少女マンガ誌における若年女性像の変遷など、巨視的な視点に立った総合的な把握と、90年代の少女マンガを代表する作家である矢沢あいに関する個別研究の双方から、資料調査・整理・分析を進めることができ、マンガ研究・大衆文化研究の発展に寄与することができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は前年度の研究成果を基盤としつつ、その延長線上に研究の発展・拡充を図る。とりわけ26年度は「(コ)ギャル」という新たな若年女性像が少女マンガに定着していく過程を実証的に検証する。 具体的には以下の点に留意しつつ研究を進めていく。1)一次資料の収集・整理。前年度同様、国立国会図書館を中心に『りぼん』『なかよし』『ちゃお』に掲載されたマンガ・記事・読者投稿などを網羅的に収集・整理する。また、「コギャル」に関する雑誌メディアや新聞・雑誌記事なども網羅的に収集・整理する。2)一次資料の分析。1)の作業をもとに、各々の雑誌に表象された若年女性像の特徴と変遷を二次資料と照合しながら跡付ける。3)研究成果の発表。1)2)の作業を踏まえ、導き出された知見を学会での口頭発表や学術論文として発表・公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に到着する予定の書籍が会計の締め切りまでに届かないことが発覚したので、やむをなく購入を見送り、購入費として予定していた約5千円が残ってしまった。 平成26年度の使用計画は以下のとおりであり、25年度の未使用額はこのうちの(1)にあてる予定である。 (1)書籍購入や文献複写など基礎資料購入費(2)学会参加や資料調査などの旅費(3)研究環境整備のための機材購入費
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