本研究「『動き』と『明るさ』の美学――小津安二郎初期映画と戦間期日本における映画言説」では、初期作品における小津安二郎の映画美学の発展をハリウッド映画の影響という観点から考察する(一年目)とともに、彼の映画実践の含意を同時代の映画美学の中に位置付ける(二年目)ことを目的とした。一年目には、小津の特異な切り返しの発展の過程を辿った日本語論文の執筆、一九三〇年代中盤におけるトーキー化を意識した際の小津の映画実践に関する国際学会発表、二年目には、一九三〇年代中盤の小津作品の変化を同時代の映画言説を参照しながら考察した国内学会発表などを行い、さらには今後の外国語での研究発表・論文発表の土台を作った。
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