本研究の目的は以下の二点である。(1)室町後期の源氏物語の注釈書『長珊聞書』の中に見られる三条西公条の説を分析することによって、公条の源氏物語講釈の新しい一面を明らかにすること。(2)三条西家の源氏学の集大成と言われる『岷江入楚』において、『長珊聞書』が引用された意図を明らかにすること。 これらについて、研究代表者は、①「公条の源氏解釈の一側面―『長珊聞書』と『紹巴抄』『覚勝院抄』から―」、②「『長珊聞書』における「御説」の位置づけ―「帚木」巻―」、③「「或抄御説」の注記から見た『岷江入楚』における『長珊聞書』の位置づけ」の三本の論文を発表した。
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