研究課題/領域番号 |
25770091
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
和泉 司 慶應義塾大学, 日本語・日本文化教育センター, 講師 (50611943)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 文学賞 / 文学懸賞 / 改造社 / 『改造』懸賞創作 / 懸賞作家 |
研究概要 |
『改造』懸賞創作に関するデータのまとめと整理から、個別の受賞作家・受賞作についての資料収集及び調査・研究を進めた。 まず、芹澤光治良が第三回『改造』懸賞創作に一等入選した際の状況やその後を、他の入選者のその後と照らし合わせながら考察し、『日本文学』2013年11月号に論文「生き残った〈懸賞作家〉・芹澤光治良」を発表した。また、第四回二等入選者の田郷虎雄についての論文「〈懸賞作家〉にとっての『改造』」を『改造社のメディア戦略』(庄司達也・中沢弥・山岸郁子編 双文社出版 2013年12月)に寄稿した。また、植民地台湾における文学運動と日本内地の文学懸賞との関わりを考えるため、戦時中改造社版『文芸』の第7回「文芸推薦」の最終候補に選ばれていた新垣宏一の小説テクストについて調査・分析し、第一回東アジアと同時代日本文学フォーラムにおいて、報告「在台2世と植民地日本語雑誌」を行った。これらによって、『改造』懸賞創作が、昭和初期の文壇において果たした役割と、知名度に比して著名となった入選作家が少ないことの要因に迫ることができた。また植民地における、中央文壇と植民地文壇との間に立った作家・テクストの動揺についても考察を進めることができた。 一方、竜胆寺雄、大江賢次、太田千鶴夫などを中心に、『改造』懸賞創作入選後の活動やテクストを調査するため、資料収集を行った。そこからは、戦前から戦時下、戦後においての活動の変遷を追うことができた。 また、『改造』懸賞創作及び改造社と関連するものとして、植民地台湾における文学運動と芥川賞・直木賞についても調査を進めた。当該年度では、特に邱永漢とそのテクストを中心に、植民地出身者にとっての文学賞の意義について考察した。これらは二年目の研究計画の中で活用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『改造』懸賞創作入選作家についての情報と資料収集は順調に進んでいる。今後はそれらを整理し、内容について分析していくことになる。また、〈文学懸賞〉〈文学賞〉に投稿・応募していた人々が集まっていたと考えられる同人誌についても資料収集・調査を進めることができたので、研究計画はおおむね予定通り進められていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度に引き続き、資料収集と情報整理を進めながら、『改造』懸賞創作入選作についての分析と、作家の伝記的情報の確認を行う。また、戦時下から戦後にかけて、〈文学懸賞〉から〈文学賞〉への展開していく様相を、具体的な〈文学賞〉の受賞作やそれに係わる事件から考察していく。戦後に〈文学賞〉の認知度・知名度が上がっていく状況から、文学活動における中央と地方との関わり方をとらえ直していく。そこに旧植民地の問題も関連していくこととなる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度において、複数回の海外資料調査、及び国内資料調査を行う予定であったが、本務校のスケジュール(休暇)と日程の調整がかみ合わず、実施できなかった調査があった。そのため、主に調査旅費において当該年度に想定していた金額を次年度に繰り越すことになった。 また、海外・国内調査を行わなかったため、そのために必要と考えていたPC、デジタルカメラなどの物品を購入しなかった。 研究計画二年目となる今年度に、研究代表者の所属機関に異動があった。それにあたって、昨年度に比べて本務校のスケジュールと調査の日程調整がしやすくなることが予想される。故に今年度は調査旅費として補助金を活用していく予定である。また、異動に伴い国内の主要な調査対象であった図書館・資料館から遠距離に転居したため、その出張調査旅費としても活用する。 同時に、昨年度から今年度にかけて、本研究計画と係わる資料・研究書が多数出版されており、その購入費用にあてるつもりである。
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