研究課題
若手研究(B)
1920年代から30年代にかけて「文学の価値化」、つまり「円本」をはじめとする商品化が進むのであるが、この要因は出版メディアの発展と読者の大衆化にだけ求められるものではなく、当時日本でも隆盛を誇った、新カント派の「価値哲学」の影響を考慮に入れなければならないことが判明した。「価値哲学」は当時の多くの文学者たちに強い影響を与えており、その理論とは「文化」の中に「価値」の構造を見出すというものであった。文学者たちはその「価値哲学」の理論の中に文学の商品化の理論的な可能性を見出したのである。
日本文学