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2015 年度 実施状況報告書

16・17世紀の浄土教絵画とそれに関わる説話・物語に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25770098
研究機関文教大学

研究代表者

日沖 敦子  文教大学, 文学部, 講師 (30448708)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワード縁起絵巻 / 掛幅絵 / 説話 / お伽草子 / 寺社縁起 / 矢田地蔵 / 檀王法林寺 / 主夜神
研究実績の概要

本研究は、室町時代から江戸時代前期に制作された縁起絵巻・掛幅絵の制作背景について検討し、これらの絵画を求めた民衆の生活と信仰の形態を明らかにすることを目的とする。特に、これまで行ってきた檀王法林寺及び西寿寺所蔵の掛幅絵の調査・研究を継続しつつ、掛幅絵の背面にある結縁者名の整理と分類を進め、制作背景及びそれに付随して語り伝えられた説話や物語について検討し、民衆信仰の実態解明を目指す。
今年度は、新たに確認できた奈良県生駒市法薬寺に伝わる『矢田地蔵縁起並地獄絵』について調べ、その結果をまとめた論考を発表した(『文教大学国文』45号)。毎年、法薬寺の地蔵盆で公開されるこの掛幅絵は、従来、「欲参り」絵として知られていた金剛山寺所蔵の『和州矢田山地蔵菩薩毎月日記』(一幅)に類似した図様をもつ一本として貴重な伝本である。「欲参り」とは、毎月特定の日に金剛山寺への参詣を繰り返すことにより、生前の罪が消え、死後、地獄の苦しみから救われるという利益に基づく風習をいう。このような「欲参り」の利益を語る際に効果的な役割を持っていたと考えられる「欲参り」絵であるが、現存するものは破損している点が多い。それに対して、法薬寺の一幅は、保存状態が欲、来迎の様などが細やかにかつ鮮明に描かれている。
このほか今年度の調査として、『江戸寺院縁起絵巻』など新たな寺社縁起絵巻の調査を行ったほか、檀王法林寺の所蔵資料を含む、主夜神関連の資料についても調べを進めている。これらの調査結果についても、現在、論考をまとめているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、これまで取り組んできた檀王法林寺および袋中関連の資料に留まらず、広く様々な縁起絵巻や絵画資料の調査に取り組むことができた。当初の計画に加え、広がりを持たせながら、概ね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

現在、執筆途中の主夜神関係の論考および江戸寺院縁起絵巻関連の論考をまとめ、発表する。また、本研究計画最終年度として、檀王法林寺所蔵の資料から確認できた点について、まとめていく。

次年度使用額が生じた理由

研究期間内において、閲覧許可が難航するなどの理由により、計画通りの研究遂行が難しく、本来、調査に必要となるはずの旅費などが残額として生じたため、次年度使用額として繰り越すことになった。

次年度使用額の使用計画

現時点では、調査・研究が可能となったため、次年度使用額については、当初の計画通り、出張旅費などに充てさせていただく計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 奈良県生駒市法薬寺蔵『矢田地蔵縁起並地獄絵』について2016

    • 著者名/発表者名
      日沖敦子
    • 雑誌名

      文教大学国文

      巻: 45 ページ: 19-44

    • 査読あり

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公開日: 2017-01-06  

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