本研究では、室町時代から江戸時代前期に制作された縁起絵巻・掛幅絵の制作背景について検討し、これらの絵画を求めた民衆の生活と信仰の形態を明らかにすることを目的とする。本研究期間において調査し、論考をまとめた作品は「熊野の本地絵巻」(聞名寺蔵)、「鞆の浦観音堂縁起絵巻」、「玉ものまへ絵巻」(堀家蔵)、「花咲爺絵巻」(文教大学蔵)などの物語絵巻のほか、「異相本智光曼荼羅」(檀王法林寺蔵)、「当麻寺供養図」(西寿寺蔵)、「矢田地蔵縁起並地獄絵」(法薬寺蔵)などの掛幅絵がある。掛幅絵については、これまで調査を続けてきた浄土宗僧袋中(1552~1639)関連寺院に所蔵される絵画資料を中心に研究を進めた。
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