本研究によって、研究発表1件、図書(単著)1点、図書(共著)1点、論文(単著)5点、論文(共著)1点を公表した。本研究では、中世前期(平安時代末~鎌倉時代)における、記録と文学の関係及び記録が文学となるプロセスや歴史的必然性について、『方丈記』『発心集』『源家長日記』などの作品を手掛かりとして、分析・論究を行ってきた。事実の「記録」とされてきたものに、虚構である「文学」の視点を導入して分析することで、その「記録」が環境に要請される目的のために様々な趣向を凝らし、表現を選び、意図的な操作を行っていることを解明することができた。文学・歴史双方の分野に対して、新たな知見を提出できたと考えている。
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