本研究は1620年代から王政復古の間に見られるイエス生誕を描いた詩作品が、チャールズ二世の生誕を言祝ぎ、王権を支えるという政治的言説を多分に帯びていたことを論じた。マイナーな詩人も含む王党派の作家たちは、1630年のチャールズ二世の生誕をイングランドへの救世主の到来と位置づけたが、その文学的表象は内乱期と共和制下、王政復古に至るまで続いていた。また、キリストに重ねられた国王はクリスマスを含む民衆の祝祭の守護者として描かれることで、国王の存在を国民に正当化するための手段とされていたことを指摘した。
|