本研究は、ウィリアム・フォークナー文学における白人性構築について、アメリカの大衆演劇ミンストレル・ショウが表象する白人性の概念に基づいて考察する。フォークナーが白人に仮面のイメージを重ね合わせていた点がミンストレル的仮面のパフォーマンスであるという前提に立ち、白人/黒人の人種的相互作用によって構築された白人性の危うさを暴き出すフォークナーの文学的想像力をとらえることを目的とする。アメリカの人種意識を反映するミンストレル文化とフォークナー文学の接点を明らかにし、近年注目されている白人性研究の理論的枠組みを援用することで、領域横断的視点からのテクスト研究を試みた。
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