本研究は、既存のアメリカ核文学の枠組みをより幅広く多角的な文学的枠組みへと再構築するため、核・原爆問題を取り入れた北米先住民作家の作品を中心に、ポストコロニアリズム理論やエコクリティシズム理論の視座から検証した。具体的には、レスリー・マーモン・シルコー、マリルー・アウィアクタ、ピーター・マシーセン、バフィー・セントメリーらの文学作品や楽曲を、冷戦時代におけるアメリカのニュークリアリズムやウラン鉱山をめぐる「検閲」の問題と絡めて解読した。また、ジュリエット・S・コウノやジョイ・コガワらの作品における被爆者の身体表象の問題や、ラングストン・ヒューズの短編における核・原爆表象の検証に着手した。
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