研究課題/領域番号 |
25770112
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10552755)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | センセーション小説 / プロット / 女性 / 願望 / ジェンダー / 階級 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究では、一つには、新たにヴィクトリア朝中期の代表的なセンセーション作家の一人であるメアリー・エリザベス・ブラッドンの作品であるLady Audley's Secretを取り上げ、平成25年度の研究成果である「テクストに同時に存在する男性と女性のプロット」というテーマをさらに発展させた内容の研究を開始した。その中では、従来からsubversiveと言われるブラッドンのテクストについて、先行研究をもとにしながら、語り手の「ナラティブの権威」という側面から、それがどのように崩されているか考察を行った。その結果、「ジェンダー」だけでなく、「異なる階級の登場人物の願望のプロットに依存するジェントルマン男性のプロット」というセンセーション小説の新たな性質の可能性が明らかになった。この研究内容については、平成27年度の研究期間内に学会口頭発表、または論文という形で成果を発表する予定である。 また、平成26年度には、前年度にトマス・ハーディとの関係で学会口頭発表した研究内容を発展させた成果が、査読審査後に『ハーディ研究』に論文として掲載された。さらには、「センセーション小説における男性と女性のプロット」という研究テーマに関して、ウィルキー・コリンズのテクストに焦点を当てた研究内容を日本英文学会第87回全国大会の口頭発表審査に応募し、その結果、その内容を平成27年5月24日に学会発表することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していたブラッドンのテクストの分析が予定通りに進んだこと、前年度の研究内容を論文として『ハーディ研究』に掲載できた点と、さらには、その研究成果をさらに発展させたウィルキー・コリンズのテクストについての研究成果を学会口頭発表審査に応募できたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、前年度までの研究成果をもとに、さらにさまざまなセンセーション小説作家のテクストについて同様の分析を続け、センセーション小説全体に通じる特徴を見つけていきたいと考えている。また、ヴィクトリア朝中期だけでなく、それよりも前の時代と後の時代に、どのように女性のプロットがテクストに関係しているかを考察していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由としては、二つあげられる。一つには、研究開始時に購入を予定していた資料(洋書)に関して、書籍注文後に、絶版になっているため入手が不可能との連絡があり、その結果、資料購入予算の使用金額にずれが生じた。また、二つ目には、参加を予定していた学会の発表内容等が、現在行っている研究内容とはあまり関係がなかったため、それらの学会への参加よりも次年度の学会発表および学会参加に使用することにした。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、今年度の研究計画では前年度の研究成果を形にし、さらに発展させた内容で論文を作成する予定であるため、その際に新たに必要となる資料の購入に使用したいと思っている。また、旅費に関しても、前年度分の研究成果を今年度に学会発表することが決まっているため、その際の旅費に使用したいと考えている。
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