• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

異なるものの痕跡:アメリカン・ルネッサンスにおける翻訳の文化的役割

研究課題

研究課題/領域番号 25770113
研究機関和洋女子大学

研究代表者

古屋 耕平  和洋女子大学, 人文社会科学系, 助教 (70614882)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードアメリカ文学 / 19世紀
研究実績の概要

平成26年度前半には、主にラルフ・ウォルド・エマソンと翻訳の関係についての研究を行うと同時に、ハーマン・メルヴィル及びナサニエル・ホーソンについても研究を進めた。
それらの研究成果は、2014年4月、日本アメリカ文学会中部支部大会シンポジアムにおける口頭発表、2014年5月、日本ナサニエル・ホーソン協会全国大会シンポジアム「旅する19世紀アメリカ作家たち―自然、風景、いきもの」における口頭発表、2014年6月、アメリカ合衆国マサチューセッツ州で開催の国際ナサニエル・ホーソン学会における口頭発表でそれぞれ公表し、国内外のアメリカ文学研究者から研究進展の助けとなる様々なコメントを得ることができた。また、年度末には、本研究の一部として学術論文「ビルドゥングと超越―エマソンとドイツ翻訳理論」を発表した。また、国際ホーソン学会開催中には、基調講演者として同学会に参加の指導教官Larry J. Reynolds教授と会談し、同研究の一部となる博士論文についての詳細な助言を受けた。
平成26年度後半には、これまでの研究成果をさらに発展させた博士論文(Translation and Nation: The Question of Identity in the American Renaissance)を完成及び提出し、27年3月にテキサスA&M大学英文科における口頭試問にも合格した。(27年5月現在、最終校正中。)同博士論文では、アメリカン・ルネッサンスにおける翻訳の文化的・政治的役割について、ラルフ・ウォルド・エマソン、ナサニエル・ホーソン、ハーマン・メルヴィルを中心に詳細に論じた。口頭試問では、審査委員から、研究のさらなる発展及び将来の出版に向けての詳細な助言を受けた。また、口頭試問後にも日を改めて、審査委員の諸先生とそれぞれ会談し、研究進展のための具体的なコメントを貰った。同時に、同大学図書館を連日訪れ、電子化されていない様々な資料の調査を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体として、「おおむね順調に進展している」と十分に評価できる。
まず、26年度前半にラルフ・ウォルド・エマソンを中心に研究を行い、研究成果を学会誌に投稿、年度内に出版できたのは、昨年度「今後の研究の推進方策」に記載した予定通りである。
次に、全体的な研究を大幅に進展させ博士論文の完成に至ったのは、今年度の最も大きな成果であると言える。当初の予定では、博士論文の完成は27年度を予定していたが、これについては、様々な条件を考慮し、指導教官と相談の上、一年前倒しの完成となった。エマソン、ホーソン、メルヴィルについての個別研究、及び翻訳についての歴史的・理論的な研究は飛躍的に進展した。
その一方で、当初予定していたマーガレット・フラーについての研究は、同博士論文の中では一部の言及に留まった。
以上のような点を鑑み、研究の順序がやや前後した点を除いては、研究全体としては「おおむね順調」であるという評価に至った。

今後の研究の推進方策

平成27年度には、まず博士論文の一部を改稿の上、アメリカ国内の権威ある学術誌に投稿する。また、国内においても成果の一部を共著として出版する予定である。
さらには、研究実施計画に記載の通り、26年度までにまとめられなかった論考に改めて取り組む。特に、前項にも書いた通り、マーガレット・フラーの研究については作業が後回しとなったため、資料の収集、精査、執筆に本格的に取り組む。年度内にメインの議論については書き上げ、修正の前段階までには到達したい。
課題としては、資料の収集手段の確保が挙げられる。27年5月にテキサスA&M大学卒業となるため、同大学図書館の電子資料への学外からのアクセスを失うことになる。そのため、5月以降の研究過程で、日本国内で入手困難な資料をリストアップしておき、今年度中に同大学図書館を訪れ、入手する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定では、26年度中に達成した研究課題以外に、マーガレット・フラーについての研究を行う予定であったが、前述の通り、博士論文の提出が前倒しとなったため、研究の順序が前後し、予定していた資料の調査、収集及び購入の作業を行うことができず、特に、年度後半は、資料の収集よりも、博士論文の執筆に集中していたため、図書購入費が予定を下回った。

次年度使用額の使用計画

平成26年度までに予定していたが未入手の資料の収集及び購入を年度内に漸次行うと同時に、新たに必要となる資料の購入を行い、前年度未使用分を使用する予定である。また、今年度の研究の過程で国内での入手が困難な資料などが出てくる可能性が高いため、テキサスA&M大学図書館及びその他米国図書館への調査旅行を適宜行うことも計画している。資料の整理には、必要に応じて、アルバイトを雇うことも考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] ビルドゥングと超越―エマソンとドイツ翻訳理論2015

    • 著者名/発表者名
      古屋耕平
    • 雑誌名

      和洋女子大学紀要

      巻: 55 ページ: 15-23

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Translating Children’s Words: Hawthorne, Melville, and the Question of Language Education2014

    • 著者名/発表者名
      Kohei Furuya
    • 学会等名
      The 2014 Nathaniel Hawthorne Society Meeting
    • 発表場所
      The Massachusetts College of Liberal Arts、(米国マサチューセッツ州ノース・アダムズ)
    • 年月日
      2014-06-13 – 2014-06-13
  • [学会発表] 翻訳不可能性について―メルヴィルの自然、風景、いきもの2014

    • 著者名/発表者名
      古屋耕平
    • 学会等名
      日本ナサニエル・ホーソン協会、第33回全国大会シンポジアム「旅する19世紀アメリカ作家たち―自然、風景、いきもの」
    • 発表場所
      かでる2・7 北海道立道民活動センター(札幌市)
    • 年月日
      2014-05-23 – 2014-05-23
  • [学会発表] アメリカン・ルネッサンスと翻訳コミュニティの形成2014

    • 著者名/発表者名
      古屋耕平
    • 学会等名
      日本アメリカ文学会、中部支部第31回支部大会シンポジアム「知のコミュニティの形成―アメリカン・ルネサンスを中心に」
    • 発表場所
      中京大学(名古屋市)
    • 年月日
      2014-04-20 – 2014-04-20

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi