平成28年度の研究実績としては、平成28年3月に大韓民国のHankuk University of Foreign Studiesにて行った講演の原稿を元にした論文“Translation and Classic American Literature: A Prospect for the Future of American Literary Scholarship”を同大学出版の学術誌Journal of British & American Studies誌上に発表した。査読の過程で、査読者より多くの有益なコメントを得ることができ、本研究に反映させることができたのは大きな収穫であった。同年6月には、本研究と関連するアメリカン・ルネッサンス研究の拙論「『頭を突き出した蛇のような疑念』―「セプティミアス・フェルトン」における歴史と情動」が収録された論文集『ホーソーンの文学的遺産―ロマンスと歴史の変貌』が出版された。こちらも査読者より多くのコメントが寄せられ、ホーソーンにおける翻訳の問題についての研究を進めるための多くのヒントを得た。同年9月には、「知のコミュニティ」2016年夏季セミナーシンポジアム「18・19世紀アメリカと知のコミュニティの形成」において、「想像の世界文学共同体―マーガレット・フラーの『ゲーテとの会話』翻訳」というタイトルの発表を行った。全体として、概ね活発に業績の発表を行うことができたと評価できる。
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