研究実績の概要 |
平成27年度においては、ラテン語宗教散文 "Stimulus Amoris" の校訂をするために参照する必要のある写本のうち、London, British Library, MS Royal 7. A. I; London, British Library, MS Royal 8. B. VIII; Cambridge, Trinity College, MS B. 14. 7; Oxford, Bodleian Library, MS Digby 58; Oxford, Corpus Christi College, Cod. 240 (大英図書館、ケンブリッジ大学トリニティ・コレッジ図書館、オックスフォード大学ボドリーアン図書館、オックスフォード大学コーパス・クリスティ・コレッジ図書館所蔵) 5写本を調査し、ほぼ全てを写真データとして保存することができた。 しかし、これら5写本のうち、 London, British Library, MS Royal 8. B. VIII については、大英図書館が所蔵する写本の中でも稀覯本として分類されているため、写本の内容を写真データとして撮影することが許可されなかった。二週間という短いイギリス滞在期間では、この写本を他の写本と比較しながら詳しく吟味することは不可能であったため、今後も何らかの手段で渡英して大英図書館でのリサーチを続ける必要がある。 本科研費プロジェクトにおいては、"Stimulus Amoris" の現存写本のうち、イングランドにおいて1400年ごろまでに流通していたものに的を絞ってを進めてきた。しかし、ラテン語写本と中英語翻訳を比較する作業を進めるにつれ、調査対象である7写本のうち、どの写本を底本に据えるべきかについて、計画していた当時ほどは明確に決定できないことが明らかとなった。
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