都市の近代化が進み、犯罪が増加した19世紀ロシアにおいて、ジャーナリズムや文学によって犯罪がどのように描写され、消費されたのかを明らかにするために、当時の新聞から「ゴーラス」「モスクワ報知」「ペテルブルグ報知」の3紙と、新聞から題材を取ったF.M.ドストエフスキー、V.V.クレストフスキーの小説を取り上げ、分析をおこなった。 新聞記事は裁判記録のコーナーや事件の報道を中心に収集し、ドストエフスキー『白痴』、クレストフスキー『ペテルブルグの場末』などと比較した。当時の裁判を民衆や作家がどのように受け止めていたのか、犯罪報道がどのように受容されていたのかを明らかにした。
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