研究課題
二年計画を一年間延長し、最終年度となった平成27年度は、本研究のまとめとして、前年度行った「ペンを持つ手」グループ機関誌の分析をまとめ、歴史的意味を問い直す作業を行った。第二次世界大戦中、ナチスドイツ占領下パリのシュルレアリスムグループであるペンを持つ手グループが一貫して重視していた集合性というテーマに注目した。グループが実践した集団的遊戯が、アンドレ・ブルトンらのシュルレアリスムの集団的遊戯とどのように異なるのかを分析し、両グループの違いを明らかにしようとした。この分析の結果は、論文「第二次世界大戦下のシュルレアリスム「ペンを持つ手」─その集団的遊戯を中心に─」にまとめた。ブルトンらのシュルレアリスムが、メンバーそれぞれの個人的な関心事が集団の中でどのように変化するかを重視するのに対し、「ペンを持つ手」のケースでは、個人的な関心事を突き合わせることによりそれらが匿名的なものになることに重点を置く様子を示した。また、上記の分析を踏まえ、ペンを持つ手グループが、第二次世界大戦後のシュルレアリスム史や前衛運動の編成の過程にどのように関わるのかという点についても研究を進めた。この成果は、日本フランス語フランス文学会2016年春季大会で申請者が参加するワークショップ、「20世紀フランス文学をめぐるアヴァンギャルド的思考」内で発表する予定である。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Caricaturana 2015, 学習院大学人文科学研究所
巻: 1 ページ: 59-67
Vision in motion
巻: 1 ページ: 519-533(予定)