研究課題/領域番号 |
25770132
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
江尻 徹誠 北海道大学, 文学研究科, 専門研究員 (80528232)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経学 / 明末清初 / 詩経 / 朱鶴齢 |
研究概要 |
本研究計画「明清における文学と経学の相関をめぐって―朱鶴齢の基礎的研究―」では、その主要な研究目的として、明末清初期の文人による文学的創作活動と彼らの交遊が当時の経学研究に及ぼした影響について解明することを挙げた。これは、文人として、そして経学研究者として多くの著作物を遺した朱鶴齢(1606~1683)を研究対象としてとりあげ、その創作および研究活動と彼の交遊関係から当時の学界の動向の一端をさぐるものである。 実際に進行する研究課題として以下の三点~(A)朱鶴齢の代表的著作の校訂・整理、(B)朱鶴齢の学術的交遊関係の整理、(C)朱鶴齢の経学関連著作の分析~を設定した。これら三点は、本研究計画の終了後も引き続き関連する研究を進行する上で、まず明らかにしておくべき研究課題である。 本年度はまず関連する資料を収集し、それらに整理と分析を加えた。朱鶴齢の著作である『愚庵小集』『杜工部詩輯註』『李義山詩集箋注』『詩経通義』について、国内外で資料を集めながら、随時検討を進め、その成果の一部を「朱鶴齡に關する基礎的研究 -その人物と著述活動について-」として発表した。当該の論文では朱鶴齢の人物像とその生没年に対する検討を試みた後、『杜工部詩輯註』『李義山詩集箋注』『詩経通義』の三書について幾分かの説明を施した。これは本研究計画を進行する上での基盤を示すための発表であり、この論考をもって以降の研究を進行する上での端緒とするものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果は前述の通り、論文「朱鶴齡に關する基礎的研究-その人物と著述活動について-」として発表した。当初の計画では、資料の収集と整理後に、『愚庵小集』『杜工部詩輯註』『李義山詩集箋注』『詩経通義』について分析作業を進め、そこから判明した事実に関して論考を準備することを研究目標としていたが、発表した論文ではこれらのうち三書に関する基礎的な考察を終えることができた。より発展的な考察に関しては次年度の研究課題とするが、資料の整理と分析に関してはおおむね順調であることから、達成度は上記の通りと愚考する。
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今後の研究の推進方策 |
研究の推進方策は予定していた研究計画・方法に沿って行うが、まず(a)関連する資料の収集について、本年も研究に必要とされる書籍の複写・購入を進める。また、校本等の稀覯書の収集につとめるべく、国内外の図書館等での資料調査と複写を進める。(b)収集した資料の整理と分析については、前年度に収集した資料に関する検討も継続するが、その他、『読左日鈔』にみえる諸学説の分析を進める。また『禹貢長箋』『尚書俾伝』に関する整理と分析も進めるが、研究計画の進行度によっては、これら両書の研究を継続的課題として、新たな研究計画を設定する予定である。こうした作業を進めた後に、(c)考察した結果の国内外における口頭および論文による発表および情報交換を進めて行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該助成金は25年度中に使用してあるが、その支払い処理が平成26年3月31日以降となったため。 残額は物品費としてすでに使用済みである。
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