研究課題/領域番号 |
25770139
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
呉 世宗 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90588237)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 植民地近代論 / ナショナリズム / ファシズム研究 |
研究実績の概要 |
2000年代以降の日韓の「植民地近代論」を比較検討することで、二項対立的認識機制批判が日韓においてどのように展開し、いかなる問題をもたらしているのかを検討した。具体的には以下の3点を行った。 a)韓国のポストコロニアル研究が、ナショナリズム批判とファシズム研究を経て、主に2000 年代に「近代性」そのものを問う「植民地近代」の研究に至っていること、また日本でも同時期に植民地と近代の関係の問い直しが始まっている状況を踏まえ、「植民地近代論」を中心的テーマとする両国の文学領域の先行研究の収集を日本、そして韓国で行った。 b)平成25年度は1990 年代の日韓において「帝国主義」「植民地主義」「民族主義」という観点から二項対立的認識機制の問い直しを行った。平成25年度の知見を基に、日韓における二項対立的認識機制批判が「植民地近代論」によってどのように変容していったのかを比較検討した。「植民地近代論」は、「文化ヘゲモニー」論や、植民地内部における抵抗と協力が交差する公共的空間を想定する議論、あるいはそのような領域から排除される「民衆」を指摘する論等に見られるように、ある意味ミクロな観点から人々の行動を注視し、支配/被支配という認識枠組みを問い直す議論となっている。多様に展開するその「植民地近代論」を批判的に検討し、主要概念の整理および理論の再構成、問題点の抽出、研究成果が持つ意義の明確化を行うことで、日本と韓国において認識機制批判がどのように展開していったのかを明らかにした。 c)得られた知見を踏まえ、取り組むべき理論的課題や付け加えるべき論点について議論するワークショップを韓国で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の研究計画はほぼ行ったので、おおむね順調に進んでいると考える。しかしながら若干の研究の遅れから、予定していたワークショップを韓国では行ったものの日本では実施できなかった。平成27年度に行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、予定どおり在日朝鮮人文学に関する研究を取り上げ比較検討する予定である。研究計画を進めるとともに、日本と韓国でワークショップを開催、問題点や付け加えるべき論点についての検討を行う。日本でのワークショップでは、平成26年度に関する研究成果の報告も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた日本でのワークショップを実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた日本でのワークショップを実施するために使用する。
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