研究課題/領域番号 |
25770149
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
品川 大輔 香川大学, 経済学部, 准教授 (80513712)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バンツー諸語 / キリマンジャロ・バンツー諸語(チャガ語) / 形態論 / 形態統語論 / 統語論 / 類型的多様性 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
本年度の主たる研究実績として,i) 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所における言語研修「チャガ=ロンボ語」の実施と成果物の出版,ii) 本研究計画の主要テーマであるキリマンジャロ・バンツー諸語内部の構造類型的多様性に関する論文(Vowel length and TMA micro-variation in Kilimanjaro Bantu, Shinagawa 2015)の上梓,の2点を挙げることができる. i) については,実践的なフィールド言語学教育というかたちで,本研究計画において得られた研究成果を還元し,同言語の文法スケッチおよび語彙集を公刊した.出版物のうち前者については,これまでまとまった形での記述資料のなかった同言語についての初めての文法記述の成果である. ii) については,昨年度に本研究計画の枠内で行った研究発表をまとめたもので,キリマンジャロ・バンツー(KB)諸語においても研究の蓄積が薄い,西キリマンジャロ諸語およびロンボ語のデータをもとに,母音の長短の音韻論的な対立のKB諸語内部での差異が,時制等(TMA, Tense, Modality and Aspect)表示に関する形態論レベルの類型的差異を生じさせる契機のひとつになっていることを実証的に明らかにしたものである. これらに加え,研究実施計画に示した,アフリカの諸言語の言語記述に関するワークショップを8月に開催し,アフリカ言語研究者コミュニティーにおける情報交換を行った.さらには,2月から3月にかけてタンザニアにおいて現地調査を行うとともに,同国に拠点を置くバントゥ諸語およびスワヒリ語(諸方言)研究者と情報交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究調書および交付申請書に本年度の研究計画として示した,言語研修の実施および研修成果の出版と,研究課題に関する研究会の開催について,予定どおり遂行した.とくに前者については,事実上の未記述言語についての記述文法書であり,十分な成果として認められよう.一方で,年度末の調査については,時間的等の制約から当初見通しほどのデータを得ることがかなわなかったが,本研究課題の中心的なテーマに関する論考を論文化しえたことは,当初計画以上の成果である.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の最終年度にあたる来年度は,8月に行われるアフリカ言語学に関する世界会議(World Congress of African Linguistics)への参加を予定している.その関係上,調査期間は限定されるものの,タンザニアでの現地調査を行い,その成果を踏まえて学会発表ないし論文執筆の形で,本研究計画の成果の取りまとめを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外からの書籍購入手続に遅延が生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
購入予定書籍の購入をふくめ,研究計画遂行のために使用する
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