研究課題/領域番号 |
25770151
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
辻野 裕紀 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 専任講師 (70636761)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 朝鮮語 / 濃音化 / 間のs / 合成語 / 形態音韻論 |
研究概要 |
平成25年度は,次年度(平成26年度)に実施する本格的な調査,分析の前段階として,主に先行研究の収集と分析等を行なった。韓国のソウルにある国会図書館や東京大学韓国朝鮮文化研究室など,本研究課題と関連のある文献を多く所蔵していると思われる図書館で関連文献の閲覧と複写,またその整理と分析を行ない,さらには,母語話者を対象としたごく簡単な予備調査も実施した。 濃音化(ここで謂う「濃音化」とは〈平音の直後における平音の濃音化〉や〈漢字語の語彙的濃音化〉などではなく,〈合成語における形態音韻論的な濃音化〉のことを指す)をめぐる既存の諸研究について簡潔に述べると次の通りである。 まず,そもそも濃音化を齎す,いわゆる「間のs」に形態素の資格を認めるか否かというところから衆目の一致を見ていない。「間のs」がもともと中期朝鮮語の属格助詞に遡及するものであるためか,共時論と通時論が混同されているように見える論考も少なくない。また,「間のs」が現れる環境についても,一部の先駆的な研究で意味論的な観点からの精緻な分析が行われてはいるものの,実際に具体的な言語事実に目を転じてみると,例外が多すぎるという問題点がある。さらに,社会言語学的な諸問題についてはいよいよほとんど何も闡明されていないというのが実情である。先行研究の量は厖大であるが,解決すべき課題は数多残されている。 平成26年度は,こうした先行研究の分析や予備調査の結果を踏まえて,本調査を韓国で行い,その結果を考察,言語化する作業を行なう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度科学研究費補助金研究活動スタート支援の研究課題「現代朝鮮語における〈n挿入〉の総合的研究」が当初の計画よりも時間がかかってしまったため,平成25年度へ研究費の繰越を行なった。その結果,平成25年度は〈n挿入〉の研究に多くの時間を費やすこととなり,本研究には十分な時間を傾注することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
上でも触れたように,進捗状況が遅れているため,申請当初はエフォートを30%としていたが,エフォートをもう少し上げて50~60%程度とし,本研究課題に集中していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
進捗状況が遅れており,平成25年度に行う予定であった現地インフォーマント調査が行えなかったことが大きな理由である。 韓国における調査の旅費(交通費,宿泊費など)とインフォーマントへの謝礼,参考図書の購入などに使用する予定である。また,その調査結果を海外の学会で発表することを考えており,その際の旅費などとしても使いたいと考えている。
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