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2014 年度 実施状況報告書

八重山語の焦点辞「du」と疑問文の関係

研究課題

研究課題/領域番号 25770152
研究機関琉球大学

研究代表者

クリストファー デイビス  琉球大学, 法文学部, 准教授 (80647339)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードRyukyuan / Yaeyaman / Interrogatives / Focus / Plurals / 琉球諸語 / 疑問文 / 焦点辞
研究実績の概要

平成26年度の一年間では、八重山語の中の宮良方言の調査を続けながら、竹富方言の調査をも始めた。竹富方言は宮良方言よりも、母語話者が少なくなっているため、調査の困難もあるが、宮良のデータと比較しながら、疑問文と焦点助辞 du に関するデータを集めた。今までの研究で扱っていなかった、疑問詞の重複形による「複数形」を対象に、主に竹富方言の調査を行った。その調査に基いて、今までの理論ではうまく説明できない疑問詞の複数形の用法を明確にし、それを説明できる新しい理論を広げた。その研究成果を、今年度5月の国際学会 Semantics and Linguistic Theory にて発表し、論文にまとめる予定である。これと同時に、「疑問助辞」(日本語の「か」に相当する助辞)を日本語と八重山語から同時に論点を広げ、その成果をタイで行われた国際ワークショップで発表した。

以上の理論的成果と同時に、今までの調査データを処理して、これからウェッブで公開するための処理ツール等を作り始めた。今までの音声表記によるデータを自動的にカナ表記に直すソフトを作り、ELANで書き起こしされたデータをこれからインターネットで公開する準備を行った。また、3月にハワイで行われた危機言語の保存と継承に関する学会にも参加し、今まで集めたデータの適切な扱い方等を学んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の研究成果をまとめて、宮良方言の疑問文についての論文の最終版を出版した。その研究成果にもとづき、宮良方言の調査を続けながら、竹富方言の比較調査も行い始めた。昨年度の推進方策であった「宮良方言のデータに基いて八重山語の他方言のデータを収集し、比較研究を行う」予定は、これで順調に進展していると判断する。
竹富方言の調査を行うところで、これまで注目していなかった疑問詞の重複形による「複数形」のデータを対象にし、これまでの理論を八重山語における「複数形疑問詞疑問文」にも適用できるように展開した。
今年度の学会発表・論文等は、方策していたより少ない結果となったものの、新しい現象(複数形疑問詞疑問文)の理論研究に時間がかかったためである。その研究成果は今年度内では発表や論文では出せなかったが、27年度5月の国際学会で発表することとなり、論文を国際学術誌で出版することとなった。
また、今までの調査で集めたデータの処理やこれからのインターネット公開に向けた作業は、当初の計画以上に進んでいる。今まで集めたデータをELANというソフトで書き起こしを行ってきたが、そこで使われた音声表記をカナ表記に自動的に直すソフトを作り、今後の研究では一般人でも使いやすい形で公開できるように処理ツールを作り始めた。

今後の研究の推進方策

今年の研究実績にもとづき、今後の研究では主に3つの目標で進める予定である。
1つ目の目標は、今まで行ってきた宮良方言・竹富方言の調査に基いて、白保方言の調査を行う予定である。この比較研究にもとづき、今までの記述研究(疑問文・焦点辞・複数形の文法と用法の実態)を続ける予定である。
2つ目の目標は、以上の調査で集めた各方言のデータを、検索できる形でインターネットで公開する。そのための処理ツールやソフトを作って、27年度が終わるまでに公開する予定である。
3つ目の目標は、これまで行ってきた理論的研究をまとめて、今まで扱ってこなかった現象(特に補文と焦点辞が2つ以上使われるように思われる例文)データを取り上げることである。今までの研究では、疑問詞と焦点辞の関係、そして疑問詞の重複形による複数の意味を扱ってきたが、この2つの現象を同時に扱える理論をも展開する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究成果を国際学会で2~3回程度参加するための旅費が必要となる。また、八重山での現場調査を4~5回程度行うための旅費も必要となる。データの処理・インターネット公開のための物品も必要である。

次年度使用額の使用計画

国際学会およそ2~3回、現場調査およそ4~5回のための旅費を、およそ35万円~40万円を使用する予定である。
録音データの書き起こしを行うためのアンプ、データの処理に使うコンピュータ・モニター等を購入するための物品費をおよそ15~20万円を使用予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Plurality and Distributivity in Yaeyaman Wh-Questions2015

    • 著者名/発表者名
      Christopher Davis
    • 雑誌名

      Proceedings of the 25th Semantics and Linguistic Theory Conference

      巻: -- ページ: 印刷中

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Role of Focus Particles in Wh-Interrogatives: Evidence from a Southern Ryukyuan Language2014

    • 著者名/発表者名
      Christopher Davis
    • 雑誌名

      Proceedings of the West Coast Conference on Formal Linguistics

      巻: -- ページ: 124-133

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Plurality and Distributivity in Yaeyaman Wh-questions2015

    • 著者名/発表者名
      Christopher Davis
    • 学会等名
      Semantics and Linguistic Theory 25
    • 発表場所
      Stanford University (California USA)
    • 年月日
      2015-05-15 – 2015-05-17
  • [学会発表] Questions about Question Particles2015

    • 著者名/発表者名
      Christopher Davis
    • 学会等名
      Workshop on Discourse Particles
    • 発表場所
      Language Institute, Thammasat University (Bangkok Thailand)
    • 年月日
      2015-03-28 – 2015-03-29
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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